唯我独尊のビスポークモデル、600LTステルスグレイ

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マクラーレンは、ビスポーク部門「MSO」が手掛けた特別な600LTを、8月26日にアメリカのカリフォルニア州で開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で披露することを発表した。

 

この特別な600LTは、MSO独自のステルスグレイのボディカラーに身を包み、カーボン素材を車両全体にふんだんに使用している。そして、初代ロングテールである伝説のマクラーレンF1から着想を得たルーフスクープを搭載するなど、軽さとサーキット志向をさらに突き詰めたハードコアなビスポークモデルとなる。

 

今回のビスポークモデルを通じて、マクラーレンは、ビスポーク部門「MSO」が施す変幻自在のカスタマイゼーションを、世界中の顧客ないしは潜在顧客にアピールしたい考えだ。

 

オプションリストから選ぶという枠を超え、顧客が持つ理想のクルマ像を忠実に現実化する究極かつ最高に贅沢なカスタマイゼーションこそ、MSOのビスポークモデルなのである。

 

それでは、MSOが手掛けた究極のビスポークモデル「600LT ステルスグレイ」を見ていくこととしよう。

 

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▶パワートレインはそのままに

600LTは、7月12日にイギリスで開催された世界的なモータースポーツイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」でデビューしたばかりである。

 

したがって、今回のビスポークモデルでは、パワートレインには一切手が加えられていない。

 

その名の通り、600ps(620Nm)を誇る3.8ℓV8ツインターボは、0-100㎞/h加速を2.9秒、0-200㎞/h加速は8.2秒でこなし、ライバルの911 GT2 RS、488GTB、ウラカン ペルフォマンテよりも速い。ストレートでのトップスピードは、328㎞/hに達する。

 

超軽量の車重は、わずか1,247㎏。超軽量ボディに600psのエンジンを載せることで、パワーウェイトレシオは驚愕の481ps/tとなる。ハイパフォーマンスの源の一つである「軽さ」は、やはりマクラーレンの代名詞だろう。

 

今回のビスポークモデルでは、実際にどれぐらい軽くなっているかは公表されていないが、標準モデルよりもさらに多くのカーボン素材が使われており、マクラーレンのアイデンティティともいえる「軽さ」はさらに磨きがかかっている。

 

▶サーキットでのハイパフォーマンスを強く意識した外観

ボディカラーは、MSOが独自に調合して創り出した「ステルスグレイ」に、マットブラックが合わせられている。アスファルトやサーキットを連想させる「ステルスグレイ」は、サーキット志向の600LTにはぴったりの色ではないだろうか。

 

そして、アクセントカラーとしてマクラーレンオレンジが随所にあしらわれている。

 

ビスポークモデルであることを強く印象付けるルーフスクープは、初代ロングテールであるマクラーレンF1から着想を得たものである。このルーフスクープは飾りではなく、エアインテークとしての機能をきちんと果たす。ルーフスクープから取り込まれた空気は、ドライバーの頭上で独特の音を立てながらエンジンルームへと流れ込む。さらに、ルーフスクープに内蔵された車載カメラは、サーキットでの心揺さぶる瞬間を逃すことなく鮮明に記録する。

 

気分は、F-1ドライバーである。

 

極めつけは、足元で黒光りするグロスブラックの10スポーク超軽量鍛造ホイールだ。引き締められた印象を想起させるグロスブラックは、サーキットで機敏にコーナーをいなし、ベストタイムを叩き出そうとするアグレッシブな躍動感なるものを漂わせる。

 

軽さとトラックバージョンであることを強調したスタイリングとカラーリングの絶妙な組み合わせには、統一美なるものを感じざるを得ない。

 

▶軽さの象徴、カーボン素材

軽さの象徴であるカーボン素材は、ドアミラーから始まり、フロントスプリッター、フロントフェンダールーバー、リアバンパー、リアディフューザー、エンジンカバー、ルーフ、カントレイル(梁)などに至る。数え消えないぐらいのパーツを、カーボン製に取り換えることができるのだ。

 

このカーボン尽くしはコックピット内にも貫かれており、至る所がカーボン製パネルで覆われている。なんと、トランスミッショントンネルもカーボン製という徹底ぶりである。

 

そんな中でも特に印象的なのは、ルーフ中央部を横切るカーボン製のルーフスクープカバーである。コックピット中央部の頭上で静かに存在感を放つルーフスクープは、ドライバーの背後で鼓動するエンジンに向かって2本のカーボン製インテークホースに分かれ、エンジンへと空気を送り込む。

 

カーボンをこれでもかというぐらいあしらったデザインは、レーシーな演出と言うよりも、「軽さ」を突き詰めると自然にこのようなデザインに落ち着いたと言うほうが適切かもしれない。それぐらい、わざとらしさがなく、自然で無駄のないクリーンな出来栄えなのである。

 

▶ビスポークモデルならではの豪華装備

コックピットには、ドライバーの気分を盛り上げるマクラーレン セナ譲りの超軽量カーボン製レーシングシートが鎮座する。このシートには、マクラーレンオレンジのステッチが施されており、ヘッドレストには600LTのロゴが刺繍されている。足元のスロットルペダルにはエッチング加工で600LTのロゴが刻まれている。さらに、12のスピーカーを備えるバウワース アンド ウィルキンスのオーディオシステムがしつらえられる。

 

手元に目をやると、丁寧なハンドペイントが施された600LTのキーが。

それは紛れもなく、魂を揺さぶる扉を開いてくれる鍵である。

 

Photo source:McLaren

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