コンパクトスポーツSUVの雄、新型マカンターボ

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コンパクトスポーツSUVのベンチマークといえば、ポルシェの大ベストセラーである「マカン」。その頂点に君臨するモデルが、「マカンターボ」だ。

 

「走る、曲がる、止まる」というクルマの基本性能をひたすら愚直なまでに磨き、進化させ続ける自動車ブランドのポルシェ。マカンは、世界一走り込んで車を造り上げるポルシェが贈る、腰高のスポーツカーと言っても過言ではない。

 

では、早速SUVとは思えぬ足さばきと速さを備えた「新型マカンターボ」を見ていくとしよう。

 

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▶もちろんパワーアップしたエンジン

新型マカンターボは、2.9ℓV6気ツインターボエンジンを搭載。最高出力は先代よりも40ps向上し、440ps/5700~6600rpmを発揮する。7000回転近くまで回る高回転型のエンジンだ。さぞかし、気持ちいいだろう。最大トルクは560Nm/1800~5600rpmと、街乗りから高速まで分厚いトルクで、どんな速度域からでも一気に加速してくれる。険しく勾配のきついワインディングロードでも、軽やかに駆け抜けてくれるだろう。

 

カイエンやパナメーラと共有する新型の2.9ℓV6ツインターボエンジンは、ターボチャージャーをVバンクの内側に配置することで、燃焼室とターボチャージャーとの間の排気ガスの流れが短くなり、レスポンスが以前にも増して鋭くなっている。つまり、ドライバーのスロットルワークにリニアに反応し、あの「スポーツカー」の走りが実現されるのだ。

 

よりパワフルで、レスポンスの鋭い新型エンジンには、7速PDKが組み合わされ、「ポルシェ・トラクション・マネジメント:PTM」で四輪全てを駆動する。気になるパフォーマンスは、0‐100km/h加速が4.5秒。ゴルフRとほぼ同じだ。しかし、オプションの「スポーツクロノパッケージ」を選択すると、なんと4.3秒になる。速い。コンパクトSUVとはいえ、およそ2.0tという車重を考えると、相当な俊足である。なお、最高速度は270km/hだ。

 

Source:PORSCHE

 

▶足回りにポルシェの真価が宿る

ポルシェを語る上でよく言われる言葉がある。「ポルシェは、数値には表れない緻密な完璧さがある」と。エンジンパワーの数値を見れば、そのパワフルさは容易に想像できる。しかし、実際にエンジンに火を入れスロットルを開け、ステアリングを操作したとき、自分の意思とクルマがどれだけ繋がっているかという「人馬一体感」は、コックピットに乗り込むまでわからない。まるでテーラーメイドのスーツのように、体に吸い付くようなフィット感は袖を通すまでわからない。

 

しかし、一旦コックピットに乗り込み、いや、スーツに袖を通した瞬間、「数値には表れない緻密な完璧さ」というものを実感する。なんとも心地よい、フィット感ならぬ人馬一体感。

 

この気持ちよさの演出には、どんな重いクルマも気持ちよく曲がらせてくれる「ポルシェ・トルク・ベクタリング:PTV」が大きな役割を果たしている。そして、今回の新型マカンターボの目玉は、マシンをよりコントローラブルにしてくれるブレーキだ。

 

新しく採用されたブレーキ、「ポルシェ・サーフェス・コーティング・ブレーキ:PSCB」

は、ブレーキ・ディスクにタングステンカーバイドコーティングを施すことで、ブレーキの応答性能を向上させただけでなく、摩耗も減少させている。その証拠に、ブレーキダストが先代に比べて最大90%少なくなるという。パフォーマンスと経済性を高次元で両立した、憎らしいほどに出来の良いブレーキだ。

 

よく曲がり、しっかり止まってくれる。エンスーにとっては、これ以上心強く頼もしい味方はないのではないだろうか。ちなみに、オプションで、エアサスペンション、「ポルシェ・トルク・ベクタリング・プラス:PTVP」、カーボンセラミックブレーキも用意されている。

 

足回りのハイライトがもう一つ。ホイールだ。新型マカンターボは、20インチのホイールが標準装備となる。これは相当にカッコいい。早く実物を見てみたいものだ。

 

▶時代に応える先進技術

新型マカンターボにもとうとう、「アダプティブクルーズコントロール」が搭載された。ポルシェを乗っているのに自らドライビングを拒否するなどもってのほか!と思われる方も多いだろう。しかし、時代の大きな流れにはポルシェとて抗えないようだ。

 

そして、渋滞にはまった際、「トラフィックジャムアシスト」を起動させると、60km/hを上限に、前走車に追従してブレーキとアクセルをクルマがコントロールしてくれる。いわゆる部分的な自動運転が可能となる。

 

100歩譲って、ゴルフの帰り、行楽シーズンでの高速道路では大いに活躍してくれるから、イイとしておこう。

 

▶今後の展開

新型マカンターボの価格は、およそ1105万円からだ(2019年11月27日時点)。欧州ではすでに販売がスタートし、日本への早期導入が期待される。

 

2021年には、タイカンのJ1プラットフォームをベースに新たにフォルクスワーゲングループが開発したEV専用のプラットフォーム「PPE」を採用した完全EV仕様のマカンが発売されるという噂も囁かれている。タイカン同様に、前後のアクスルにモーターを搭載し、バッテリーをキャビンの床下一面に配置する構造だ。そのパワーは、最高出力が700ps以上で最大トルク1000Nm以上となるようだ。お化けのようなクルマである。

 

とにもかくにも、EV戦略も含め、今後のポルシェはこれまで以上に目が離せない。

Photo source:PORSCHE

 

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