日伊合作、50周年を祝う究極のGT-R50

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6月29日、日産とイタルデザインは、初のコラボレーションとなるGT-R50を発表した。GT-R50は、日産GT-Rの50周年とイタルデザインの創立50周年を記念したワンオフマシンである。マシンの開発と組み立てはイタルデザインが手がけ、デザインは日産のロンドンとサンディエゴのデザインセンターで練り上げられた。

 

イタルデザインは、フォルクスワーゲン傘下のイタリアを代表するクルマのデザイン会社であるが、今回のコラボレーションでは、日産がデザインし、イタルデザインがマシンの開発と組み立てをしたとあって、「本来、逆なのでは?」と思ってしまう面白いコラボレーション企画でもある。

 

ベース車両は2017年型のGT-R NISMOとなるが、デザインの力とは恐ろしいもので、GT-Rが美しいヨーロピアンな雰囲気のスーパーカーへと変貌を遂げている。もっとも、中身はNissan GT3の技術がふんだんに注ぎ込まれた、正真正銘のレースカーである。

 

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▶芸術的な躍動美のエクステリア

まず、フロントエンドからコックピットへと縦長に伸びたLEDヘッドライトが目に留まる。そして、シャープなヘッドライトの間にあるボンネットは通常のGT-Rよりも膨らみが大きくなっており、とてつもないパワーを秘めたエンジンが収まっていることを予感させる。

 

フロントグリルを囲う*ゴールドのアクセントはボディカラーの*グレーにマッチし、パフォーマンスカーでありながら上品な雰囲気を漂わせる。サイドから眺めると、54mm低くなったルーフとリアへのなだらかな傾斜がエレガントな流線形を表現し、ボディサイドの「サムライブレード」がただ者ではない存在感を静かに主張する。

 

GT-Rのトレードマークである丸形のテールライトは、スタートレックの宇宙戦艦を連想させるような未来的なデザインとなり、「ワープしそうなぐらい速そう」と思えてしまう。極めつけの調節可能な大きいリアウィングは、強力なダウンフォースを生み出し、高速域でも破綻を許さずに速く走ることを約束する。

 

名だたるヨーロッパの美術館に展示されている彫刻作品のような造形の躍動美には、息を呑んでしまうと同時に、うっとりとしてしまう。

 

*ゴールド:エナジェティック シグマ ゴールド
*グレー:リキッド キネティック グレー

 

▶レースカーの心臓と足

GT-R50のエンジンは、3.8ℓV6ツインターボ。専用のチューニングが施され結果、パワーは、720ps/780Nmを発揮する。ベース車両のGT-R NISMOが600ps/652Nmであることを考えると、もはや別の車だ。

 

レースカーのスペックを備えるエンジンは、GT3のレースで培った技術を惜しみなく投入しており、レース仕様のターボチャージャーとインタークーラー、強靭なパワーに耐えうるクランクシャフト、ピストン、ベアリング、コネクティングロッドで構成される。

 

もちろん、吸排気系システムもハイパフォーマンスを最大化すべく改良されている。そして、怒涛のパワーを余すことなく路面に伝えるため、専用のチューニングは6速DCT、ディファレンシャル、ドライブシャフトにまで及ぶ。

 

一方の足回りは、GT-R50のために最適化されたビルシュタイン製ダンパー、フロントが6ピストン、リアが4ピストンのブレンボ製ブレーキを備える。21インチの専用ホイールはミシュラン パイロット スーパースポーツを履く。サーキットでも破綻を許さない、揺るぎないグリップ力によって、ドライバーの思い通りのハンドリングを提供する。

 

▶レースカーのコックピット

コックピットは、カーボン製パネルとアルカンターラでレーシーに仕立てられており、ボディカラーのアクセントであるゴールドが、インテリアでもアクセントカラーとして特別なGT-Rであることをアピールする。

 

カスタムメイドのカーボン製ステアリングには、アルカンターラがあしらわれており、レースカーのようなデザインのメーターと合わされば、ステアリングを握って前を向いた瞬間、アドレナリンが解放されること間違いなしである。

 

なお、通常のGT-Rに備わるナビや車両情報を表示するモニターは、センターコンソールからは取り除かれており、サーキット志向を強く印象付ける演出となっている。

 

▶今後の展開

日産はGT-R50の市販化について明言を避けているが、GT-R50は7月にイギリスで開催される世界的な自動車イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で披露されるようだ。

 

イギリスでの歴史ある自動車イベントで、サプライズ的な発表をするのか…

 

日産は今回のワンオフマシンが、GT-Rの次期型を示唆するものではないと答えている。しかしながら、2015年の東京モータショーで日産が発表した「コンセプト2020ビジョングランツーリスモ」のヘッドライト、テールライト、大きなリアウィングが今回のGT-R50に反映されており、GT-R50が次期GT-Rに全く関係が無いとは言い切れないとも思える。

 

もっとも、次期GT-Rはハイブリッドのパワートレインを搭載し、さらに磨きをかけた4WDとなるのではないかと予想されている。また、日産は次期GT-Rをイタルデザインが手がけるかどうかについては、ノーコメントとしている。

 

まだまだ憶測の域を出ない事ばかりだが、日本が世界に誇るスーパーカーのGT-Rには、どうしても期待が膨らんでしまう。次期GT-Rがその姿を現す日まで、悶々とワクワクは尽きないが、まずはGT-R50の市販化を期待するばかりだ。

 

Photo source:NISSAN

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