究極のGT-R50、限定発売か

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7月9日、日産はGT-Rとイタルデザインの50周年を記念したワンオフモデル「GT-R50」を、十分な数の要望があれば、50台の限定生産で販売することを公表した。GT-R50は日産がデザインを考案し、イタルデザインが開発と組み立てを手掛けた特別モデルだ。

 

スペシャルモデルのGT-R50は、7月12日にイギリスのウェスト・サセックス州で開催される世界的なモータースポーツイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で公式にお披露目となる。

 

奇しくも、その日はマクラーレンの新型車「600LT」もグッドウッドで公式デビューを飾る予定だ。

 

世界中のエンスージアストの羨望の眼差しを一身に集める両車は、果たしてどのような存在感を放って登場するのか注目しないわけにはいかない。今から、グッドウッドのヒルクライムレースが待ち遠しい。

 

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▶レース仕込みのパワーと足さばき

GT-R50は、GT-R NISMOをベースとして、GT3がレースで培ったノウハウをフィードバックすることで、見た目も中身も正真正銘の特別にパワフルで速いGT-Rである。

 

GT-R50のエンジンは、3.8ℓV6ツインターボ。専用のチューニングが施され結果、パワーは、720ps/780Nmを発揮する。ベース車両のGT-R NISMOが600ps/652Nmであることを考えると、もはや別の車だ。

 

レースカーのスペックを備えるエンジンは、GT3のレースで培った技術を惜しみなく投入しており、レース仕様のターボチャージャーとインタークーラー、強靭なパワーに耐えうるクランクシャフト、ピストン、ベアリング、コネクティングロッドで構成される。

 

もちろん、吸排気系システムもハイパフォーマンスを最大化すべく改良されている。そして、怒涛のパワーを余すことなく路面に伝えるため、専用のチューニングは6速DCT、ディファレンシャル、ドライブシャフトにまで及ぶ。

 

一方の足回りは、GT-R50のために最適化されたビルシュタイン製ダンパー、フロントが6ピストン、リアが4ピストンのブレンボ製ブレーキを備える。21インチの専用ホイールはミシュラン パイロット スーパースポーツを履く。サーキットでも破綻を許さない、揺るぎないグリップ力によって、ドライバーの思い通りのハンドリングを提供する。

 

公道とサーキットでどのような顔を併せ持つクルマになるのか、今から期待で胸が高鳴る。

 

▶破格のプライス

日産によると、価格は900,000ユーロ、日本円でおよそ1億1,719万円(2018年7月9日時点)ということで、ベースのGT-R NISMOの約10倍の価格であり、日本車としては破格である。ちなみに、GT-R50の2倍以上のパワーを秘めたブガッティ シロンは、価格もおよそ2倍の3億円である。

 

シロンの先代であるヴェイロンがおよそ1億6,000万円だったことを考えると、価格で言えば、GT-Rはとうとう究極のスーパーカーに並んでしまったのである。もちろん、これほどの価格のクルマであるから、通常のGT-Rモデルでは対応できないような要望にも柔軟に応じてくれることだろう。

 

自分のためだけの特別なGT-Rへの夢が膨らむ。

 

▶「夢」であり続けるGT-R

2007年12月に、「新次元マルチパフォーマンス・スーパーカー」として復活を遂げたR35型GT-Rは、その後、幾度もアップデートが繰り返され、欧州の歴史と伝統あるラグジュアリースポーツカーを脅かす存在へと成長した。

 

GT-Rが復活を果たすまでの間、日本の自動車メーカーは、北米を中心に高品質な乗用車を広め、世界の自動車業界では確固たる地位を築くと同時に、マスマーケティングへとのめり込む。そうこうしているうちに、ホンダNSXもその華やかさに陰りが見え、とうとう日本は誰もが憧れるクルマを失った。

 

しかし、2007年12月、待望の日本製スーパーカー「 GT-R」が蘇った瞬間、日本のクルマを愛する者達は歓喜し、世界と戦えるGT-Rの誕生を誇らしげに称えた。

 

発売当時、開発責任者の水野氏が語った「時速300キロで走っているときに隣の人と普通に会話出来る」というエピソードは、GT-Rのとんでもないパフォーマンスと安定感の証であり、日本中のファンがこの逸話に胸をときめかせたことを懐かしく思う。

 

アウトバーンで、911ターボに勝てる。

そして、10年以上の歳月が経過し、水野氏はGT-Rという夢を遺し、日産を去った。

 

しかし、その夢は続く。

 

10年前に、誰が2億円もするGT-Rが世の中に出てくると考えただろうか。

10年前に、誰が世界に名を轟かせるスーパーカーにGT-Rが肩を並べるなどと想像しただろうか。

 

ようやく、200キロ台で十分にコントロールでき、300キロ台でもしっかり曲がり、止まるというポルシェやフェラーリの領域に辿り着いた。

 

GT-Rは、日本中のクルマを愛する者の「夢」であり続けると、つくづく思う。

 

Photo source:NISSAN

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