600LT 、4代目ロング・テールが刻む新たな歴史

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7月11日、マクラーレンは、明日7月12日にイギリスのウェスト・サセックス州で開催される世界的なモータースポーツイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」での600LTの公式発表に先駆け、その全貌を明らかにした。

 

600LTとは、これまでもお伝えしてきた通り、マクラーレンのエントリーモデルであるスポーツシリーズ570Sのサーキットバージョンである。しかし、それはただサーキット用にチューニングを施したモデルではなく、570Sのおよそ25%の部品を刷新するなど、570Sとは別のマシンになっていると言っても過言ではない。

 

サーキット志向を意味する「LT」の称号を冠した4代目のモデルは、パワーアップしたエンジン、徹底した軽量化と空力の最大化、ダイナミックなハンドリング、そしてドライバーと車の究極の一体感を提供する。

 

その究極の性能を誇るが故、「LT」」モデルは、この20年の間に4つのモデルしか世に送り出されていない。驚くべき加速性能と卓越したコーナリングスピードを手にした600LTは、「LT」の歴史の新たな扉を開く。

 

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▶ライバルも嫉妬するパフォーマンス

600LTの0-100㎞/h加速は2.9秒であり、0-200㎞/h加速は8.2秒とライバルの911 GT2 RS、488GTB、ウラカン ペルフォマンテよりも速い。しかも、最高速度は328㎞/hを誇る。

 

ライバルも嫉妬する加速性能は、その名の通り600ps(620Nm)を誇る3.8ℓV8ツインターボによるものであり、パワーウェイトレシオは驚愕の481ps/tとなる。570Sよりも30ps/20Nmのパワーアップを可能にしたのは、新しい冷却システムと背圧を軽減させたトップエキゾーストシステムの採用にあるという。

 

驚愕の加速性能を誇るパワーは、7速SSGを介し後輪が路面を強力に蹴り上げながらも、卓越した空力性能によって地面を這いつくばるかのように疾走するだろう。

 

▶「LT」の所以であるエアロダイナミクス

「LT:ロング・テール」とは、ダウンフォースを増大すべく通常モデルよりも延長されたボディの呼称でもある。

 

600LTには拡張されたフロントスプリッター、新しく追加されたサイドシル、延長されたリアディフューザー、固定式のリアウィング、74mm長いカーボン製ボディが、ボディ裏側の平らなカーボン製アンダーパネルと相まって空気抵抗を抑え、ダウンフォースの増大を図っている。

 

その結果、時速250キロでフロント40㎏、リア60㎏の合計100㎏の強力なダウンフォースを発生させ、卓越したコーナリングスピードを可能にする。

 

▶徹底した軽量化

600LTの車重は570Sよりも100㎏軽い1,247㎏であり、ライバルを圧倒する。この徹底した軽量化の裏には、アルミ製よりも25%剛性アップしたカーボン製のモノセルⅡモノコックシャシーをベースに570Sのおよそ25%の部品を刷新したことや、独自のトップエキゾーストシステム、超軽量ホイールを採用したことにある。

 

その他の軽量化の例としては、サスペンションで-10.2㎏、ブレーキで-4㎏、フロアカーペットの撤去で-5.7㎏、P1譲りのカーボン製レーシングシートの採用で-21㎏という具合だ。この徹底した軽量化で辿り着いた1,250㎏にも満たないボディに600psのエンジンを搭載すれば、驚きのパワーウェイトレシオ481ps/tも可能になるはずである。

 

マクラーレンの軽量化には、まだ続きがある。顧客の要望に応え特別な一台へと仕立て上げてくれるMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)は、600LTのさらなる軽量化オプションを用意している。

 

およそ357万円のオプションである「クラブスポーツ パック」を選択すると、カーボン製の延長したパドルシフト、カーボン製のステアリングホイール、カーボン製ルーフとカントレイル(梁)、チタン製のホイールボルトなどが装着される。

 

そして、その上の約420万円のオプション「クラブスポーツプロ パック」には、「クラブスポーツ パック」に加えて6点式のレース用ハーネスが用意され、色は黒、青、赤、マクラーレ・オレンジの中から選ぶことができる。

 

なお、マクラーレン・セナで採用されている超軽量のカーボン製レーシングシートは、これらのオプションとは別となり、およそ74万円とのことである。

 

▶究極の一体感を生む足回り

720S譲りの鍛造アルミ製のダブルウィッシュボーン式サスペンションは、10㎜拡大されたフロントトラックと8㎜下げられた車高との相乗効果で、ドライバーの思い通りのハンドリングを実現する。

 

また、600LT用にチューニングされた可変アダプティブダンパーとアンチロールバーの組み合わせが、サーキット走行でのダイナミックなパフォーマンスを約束する。

 

そして、600LTのためにピレリと共同開発したタイヤ「ピレリP ZERO™ TROFEO R」は、大幅に増加したダウンフォースとその強力なグリップにより、675LTを凌ぐコーナリングスピードを可能にする。

 

さらに、軽量アルミ製のキャリパーとカーボンセラミックディスクの採用によりブレーキシステムは4㎏の軽量化を果たし、マクラーレン・セナの技術を注ぎ込んで作られたブレーキブースターによって、ブレーキペダルを踏み込んだ時の感覚はこれまで以上に素早く確かな応答性へと研ぎ澄まされ、驚くべきブレーキング力を発揮する。

 

時速200キロの走行から完全停止に要するのは、たったの117m。

 

この絶対的な制動力により、600LTは真にコントローラブルなマシンとなり、ドライバーと車の究極の一体感は完結する。

 

▶速く走るためのコックピット

コックピットは、ただただ運転に集中できるよう徹底されている。

 

グローブボックスはなく、ドアポケットもネットとなり、エアコン、ナビ、オーディオでさえ取り外されている。とはいえ、要望すれば、エアコン、ナビ、オーディオは無料で装着可能だそうだ。

 

そして、ステアリング、シート、その他の部分も広範囲に渡り軽量のアルカンターラで覆われており、P1譲りのカーボン製レーシングシートがドライバーをしっかりと包み込む。スポーツシリーズに属するということで、日常使いにも配慮されたサーキット志向のクルマをイメージしていたのだが、それはどうやら甘かったようだ。

 

このコックピットから察するに、600LTが想定する公道での走行はサーキットに向かうまでの道のりでしかなく、日常生活の足として走るという意味ではないようだ。

 

▶マクラーレン価格

600LTの価格は、およそ2737万円(2018年7月11日時点)であるが、先ほどのオプションを選択すればゆうに3000万円は下らないだろう。マクラーレンは今回の発表でも生産台数については言明せず、今年10月からの1年間の期間および台数限定生産としている。

 

675LTと同様に500台前後の限定生産となるかは現段階では分からないが、675LTのように受注開始後間もなく完売し、675LTスパイダーという形で追加生産される可能性は高い。

 

なお、600LTはイギリス サリー州ウォーキングにある工場で、一台一台手作業で組み立てられ、オーナーの元へと大切に届けられる。

 

Photo source:McLaren

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