伝説の未来形、ランチア デルタ フトゥリスタ

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イタリアのカスタムカーブランド「アウトモビリ・アモス」は、「ランチア デルタ フトゥリスタ」を、9月6日にスイスで開催されるオートショー「グランド バーゼル」で披露する。

 

「ランチア デルタ フトゥリスタ」は、1980年代に世界を席巻した伝説のラリーカー「ランチア デルタ インテグラ―レ」をベースに、およそ1,000点以上の部品を改良ないし刷新することで、21世紀に蘇った。

 

「アウトモビリ・アモス」の独創的な手法でリメイクされ、オリジナルよりもスポーティで存在感ある佇まいは、一見の価値あり。

 

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▶オリジナルを超える外観デザイン

「ランチア デルタ フトゥリスタ」のボディカラーは、ラリーカーの戦場である山岳路を連想させるダークグリーン。その独特の風合いを放つ深緑は、山岳路だけでなくレンジャー部隊をも想起させる。

 

そして、丁寧な手作業で形づくられたアルミ製のボディは、5ドアのランチア デルタ インテグラ―レから、「ランチア デルタS4 ストラダーレ」を彷彿とさせる3ドアへと姿を変えている。後席の扉があったとは思えないほどの、見事な溶接と鈑金技術。

 

フロントエンドはカーボン製パネルで覆われており、現代的なスポーティさを巧みに表現。オールアルミボディの車体に、カーボン素材を多用することで、車重はオリジナルよりもおよそ90㎏軽くなり、1,250㎏だ。

 

オリジナルをもはや超えてしまったデザインと軽さである。

 

▶現代のホットハッチを凌ぐパワートレイン

ベースとなるランチア デルタ インテグラ―レは、伝説のラリーカー。そして、1980年代に誰もが憧れたホットハッチでもある。当時一世を風靡したホットハッチの心臓部である4気筒ターボエンジンは、インタークーラーと吸排気システムを全て一新。

 

そして、ランチアのアキレス腱でもあったワイヤーが複雑に絡み合うエンジンルームは、マニエッティ・マレリの最新の電装品を用いることで整然と整えられ、故障の心配も皆無だ。最新の部品と技術でリメイクされたエンジンは、なんと335psを発揮。ゴルフRを軽々と追い越すパワーを持つ。まだまだ若造には負けんぞ!という声が聞こえてくるような「おっさんパワー炸裂」だ。

 

トランスミッションやサスペンションも、強力なパワーを受け止めるべく強化されている。もちろん、ブレーキはブレンボ製だ。

 

残念ながら、排気量、トランスミッションの段数、駆動系については詳細が明らかにされていない。しかし、ベースがインテグラ―レであることを考えると、2.0ℓ、5速マニュアル、4WDだと思われる。もっとも、トランスミッションは、6速かもしれないが…

 

今月から導入された新排ガス規制「WLTP」の存在など、どこ吹く風のような強力なスペックは、やんちゃな魅力がある。これぞ、おおらかなイタリア人のなせる業。

 

▶オリジナルを現代的に表現したコックピット

コックピットは、最新の上質なマテリアルで仕立てられている。オリジナルの魅力をそのままに、現代的に蘇った。カーボン製パネルが、ダッシュボードを覆う。ダークブラウンのアルカンターラ製レカロシートが持つ素材の質感とカラーリングが、唯我独尊的な斬新さを主張する。

 

シートと同色のアルカンターラ製ステアリングには、鮮烈なイエローの太いセンターストライプ。栄光のラリーシーンを思い起こさせる。アナログ式のメーターがいくつも並ぶメータークラスターの右下には、ロケットのイラストが描かれた赤いボタンが、ただならぬオーラを放つ。一瞬でライバルを追い抜くための、「オーバーブースト」ボタンだろう。

 

デジタルメーターも確かに未来的でカッコいい。それでも、タコメーターは、味があっていい。

 

▶今後の展開

価格は、1台およそ3,860万円(2018年9月5日時点)。スーパーカー並みのお値段である。

 

クルマを構成する部品や素材には、マニエッティ・マレリ、ブレンボ、アルカンターラ、レカロなど、イタリアを代表する「ブランド品」を惜しげもなく投入。まるで、イタリアのドリームチーム。その対価と思えば、納得できるだろうか…

 

生産数は20台を予定。一台一台手組のコーチビルディングなので、数はたくさん造れない。

 

▶名車の現代的解釈

車名の最後の「フトゥリスタ」とは、イタリア語で「未来」を意味する。最近、名車の復刻版プロジェクトが、高級ブランドで盛んに行われている。しかし、アウトモビリ・アモスが今回手掛けた「ランチア デルタ フトゥリスタ」は、復刻版ではない。

 

ボディの形状や素材を見ればわかるように、「ランチア デルタ フトゥリスタ」は、80年代のランチア デルタ インテグラ―レの未来形である。名車を現代的に解釈したという言葉が、しっくりくる。

 

オリジナルの魅力はそのままに、最新の技術で「その魅力」を、さらなる高みへと押し上げた。

 

当時の良さをそのまま味わうのも、名車の醍醐味。

当時の良さを進歩させて味わうのも、名車の醍醐味。

 

Photo source:Automobili Amos

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