メルセデス初の市販EV「EQC」発表 (後編)

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EQCは、メルセデスベンツのEV専門の新ブランド「EQ」の第1号車である。メルセデス初となるEVコンパクトSUV「EQC 400」の航続距離はどれほどのものか、早速見ていこう。

 

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▶バッテリーと航続距離

EQCの航続距離は、NEDCサイクルで450㎞ということだが、より厳しいWLTPサイクルでは約400㎞と航続距離は短くなりそうだ。EQCよりも大きな容量の90kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載するライバルのジャガー Iペースは、NEDCサイクルで541㎞、WLTPサイクルで470㎞の航続が可能であり、航続距離では一歩リードを許してしまっている。

 

航続距離を左右する80kWhのリチウムイオンバッテリーは、EQC 400に標準装備されるDC充電の使用で、最速およそ40分でバッテリー残量10%から80%まで急速充電することができるという。もっとも、充電時間はDC充電プラグの規格により差が出るようだ。

 

DC充電の電源プラグの規格は、国や地域ごとによって違い、アメリカはテスラの独自規格「スーパーチャージャー(SC)」を用いており(CCSも広がりつつある)、ヨーロッパは「コンバインド・チャージング・システム(CCS)」を採用する。日本メーカーは独自規格「CHAdeMO(チャデモ)」を採用し、中国は「GB/T」を採用している。つまり、規格統一がまだ進んでおらず、消費者にとってはいささか不便な状況である。

 

世界の自動車メーカーには、ガソリンやディーゼルの給油ノズルのように、どの国でもどの車種でも同じように使える規格へと統一し、EVの世界的普及に注力願いたい。

 

2025年の「EVビッグバン」に向けて、欧州メーカー各社はEVの普及と推進のためのインフラ整備を着々と進めている。BMW、ダイムラー、フォード、フォルクスワーゲングループが設立した最大350kWのEV用急速充電ネットワークの合弁会社「IONITY(イオニティ)」は、2020年までにヨーロッパ全土に400ヶ所のCCS規格のEV急速充電ステーションを整備すると公言している。

 

EQC 400は、7.4kWのAC充電プラグも搭載しており、一般住宅や公共の充電ステーションの電源ソケットからの充電も可能だ。ただし、時間はかかる。

 

▶Aクラスに似た最新のインテリア

インテリアは、最新のAクラスを思わせるような造りで、コックピットのインストゥルメントパネルは、高精細ワイドディスプレイ2枚が1枚のガラスカバーで視覚的に融合したワイドスクリーンコクピットとなっている。

 

インフォテインメントシステムは、最新の「MBUX」を搭載。これまでの内燃機関のクルマとは違い、バッテリー残量や航続距離、前後モーターや回生エネルギーなどのエネルギーフローがスクリーン上に表示されるという。

 

もちろん、高機能のボイスコントロールも備わり、MBUXはドライバーからの音声指示に従う。行先や室温の設定、好きな音楽の再生など、迅速に対応可能だ。

 

煌びやかなインストゥルメントパネルはもちろんだが、ピンクゴールドのエアコン送風口のルーバーは、独特の形状とカラーリングのためか、シートに腰かけた時には、ついつい目が行ってしまいそうだ。

 

▶ドイツと中国で生産

EQCは、メルセデスのブレーメン工場と、中国の北京にあるジョイントベンチャー工場で生産される。ドイツのブレーメン工場では主に欧州仕様車が生産される予定だ。

 

▶今後の展開

メルセデスは、EQCの2019年中頃の発売に向けて、世界四大陸、数百万キロに及ぶ走行テストを200台のプロトタイプを用いて敢行するという。

 

ライバルのジャガーIペース、アウディEトロン、BMW iX3、テスラ モデルYを迎え撃つべく、ドイツの老舗ブランドは用意周到だ。

 

そんな大掛かりな計画の一方で、2025年「EVビッグバン」に向けての次なる矢、3ドアハッチバックの「EQA」の開発にも着手しており、目標達成に向けて抜かりが無い。

 

世界最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、2025年までにEVの売り上げが占める割合を全体の25%まで引き上げるべく、今後50車種以上のEVを市場に投入する予定だ。

 

世界的な「大衆車の雄」と「高級車の雄」が揃って、2025年の「EVビッグバン」に向けて、積極的なEVシフトを展開する。今後数年で、クルマを取り巻く環境は一気に変わりそうだ。

 

Photo source:Mercedes-Benz

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