近未来EVクーペ、「e-tron GT コンセプト」登場

with No Comments

アウディは、同社のEVフラッグシップモデルである4ドアクーペ「e-tron GT コンセプト」を、LAモーターショーで発表した。

 

「e-tron GT コンセプト」は、2020年にデビュー予定のポルシェ初のEVスポーツカー「タイカン」と基本構造を同じくするモデルだけに、非常に注目されている。

 

ちなみに、今回発表されたモデルは、ほぼ量産型の状態らしく、発売時には、今とほとんど変わらない姿でショールームに並ぶようだ。

 

ポルシェが開発し、アウディが味つけした、超贅沢な近未来マシンを見ていくとしよう。

 

SPONSORED

SPONSORED

 

▶ヒエラルキーを堅持したパワートレイン

「e-tron GT コンセプト」は、コードネーム「J1」というタイカンと同じポルシェのEVスポーツカー用の最新プラットフォームを採用。2基の駆動モーターをそれぞれ前後のアクスルに配置し、96kWhのリチウムイオンバッテリーを車体中央部の床下に搭載する。駆動方式は、トルクベクタリング機構搭載のクワトロ(4WD)。 ただ、22インチのホイールを履くという点が、乗り心地の面で引っかかる。

 

2基の*PSMモーターの出力は、およそ590ps(434kw)を発揮し、0-100㎞/h加速は3.5秒、0-200㎞/h加速は12秒で駆け抜けることができるようだ。最高速度は、240㎞/hに達する。ちなみに、タイカンのモーターの出力は、600ps(440kW)以上で、パフォーマンスも「e-tron GT コンセプト」よりも優れている。スペックや動力性能で差をつけてくるあたりは、VWグループのブランドヒエラルキーを堅持した格好だろう。

 

さて、EV最大の課題である航続距離は、1回の充電で400㎞以上(WLTPサイクル)走行可能だ。航続距離を左右する96kWhのリチウムイオンバッテリーは、車載する800V充電システムで急速充電に対応する。結果、空の状態からわずか20分以内で80%(320km相当)の充電が完了するという。これは、既存の急速充電の約半分の時間しか必要としない優れものだ。

 

「e-tron GT コンセプト」は、800Vの急速充電方法以外に、家庭用電源を使用した充電、専用の機器を用いたワイヤレス充電などにも対応する。

 

*PSM:永久磁石シンクロナスモーター

 

▶アウディ流EVの走りと実用性

「e-tron GT コンセプト」は、前後に駆動モーターを配置し、車体中央部にバッテリーを搭載するレイアウトとなっているため、理想的な前後重量配分と低重心を見事に実現。ハンドリングやフットワークが、R8を脅かすほどのものとなるか。今から、期待で胸が高鳴る。

 

よほど攻めない限りはフラットな姿勢をキープできるであろう「e-tron GT コンセプト」だが、先ほどもお伝えした通り22インチのホイールが、乗り心地の面で悪さをしないか心配だ。もし、22インチが標準となるのなら、サスペンションのセッティングはもちろん、タイヤ選びも慎重にならざるを得ないだろう。

 

「e-tron GT コンセプト」のボディサイズは、全長:4,960mm × 全幅:1,960mm × 全高:1,380mm。ホイールベースは、2,900mm。4シーターなので、かなり広々としたキャビンだ。ラゲッジスペースは、リアに450ℓ、フロントのボンネット下に100ℓを確保し、A7の通常時の荷室容量535ℓよりも大きい。前後にラゲッジスペースを確保できるのは、EVならではだ。

 

「e-tron GT コンセプト」は、タイカンに迫るスポーティな走りと、アウディらしい実用性を備えるクルマとなることを期待したい。

 

▶アウディのEVデザイン

「e-tron GT コンセプト」のエクステリアデザインは、9月に発表された「e-tron」よりも新鮮味があり、EVモデルの独自性が発揮されているのではないだろうか。

 

未来感たっぷりのマトリクスLEDヘッドライトは、弓矢をモチーフとしており、アウディらしさを前面に表現。ハニカムグリル、バッテリーとブレーキをしっかりと冷却するフロントバンパーの巨大なエアインテークは、スポーツクーペであることを強くアピールする。

 

優美な流線形のシルエットは、A7をよりスポーティにしたような形で、特にリアのホイールアーチ部分の膨らみが印象的だ。ちなみに、このシルエットは、パフォーマンスと航続距離を最大化し、車内の静粛性を高める工夫を重ねた賜物だそうだ。機能を究極に突き詰めつつ、美しくまとめるあたり、さすがはドイツのマイスター。

 

インテリアで目を引くのは、センターストライプがあしらわれたフラットボトムならぬ、トップ&フラットボトムステアリング。いかにもレーシーに感じるこのステアリングは、EVのRSモデル専用のデザインである。

 

センターコンソールの2段構えのタッチスクリーンなど、その他の造りは最新のアウディデザインによるところが大きい。

 

ただ、環境を意識するEVだけに、シートのマテリアルには、リサイクルされた繊維を使用し、フロアマットには海から回収した漁網のリサイクル素材を採用している。EVの在り方のお手本のような演出であり、環境意識の高いハリウッドセレブには、大いに支持されるだろう。

 

▶今後の展開

「e-tron GT コンセプト」は、2020年後半に発売される予定で、デリバリーは最速で2021年初頭を予定している。

 

アウディは、e-tronを皮切りに、2025年までに20車種の電動化モデルを市場に投入する。この20車種のうち、12車種がフルEVの「e」モデルとなる。一方の内燃機関モデルは、順次48Vマイルドハイブリッド化していくという。このような電動化の加速により、アウディは2025年までに、売上全体の30%から35%を電動化モデルとする目標を掲げている。

 

EVマーケットでもVW帝国を築くべく、VWグループのEV戦略は着実に進んでいる。

 

Photo source:Audi

SPONSORED

SPONSORED