帰ってきた「ジョンクーパーワークス」

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欧州で9月から施行された新排ガス規制「WLTP」の基準に満たないとして、販売が中止されていたJCW。

 

ミニの中で最強のパワーと速さを誇るJCWが、いよいよ、3ドアハッチバックとコンバーチブル揃い踏みで、来年3月頃に欧州の販売店のショールームに帰ってくるようだ。

 

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▶WLTP対応のパワフルなエンジン

帰ってきたJCWのエンジンは、2.0ℓ4気筒ターボを搭載し、従来と変わらない231psを発揮。このエンジンには、最新の排ガス低減技術が採用されており、WLTP基準をしっかりとクリア。トランスミッションは、6速マニュアルが組み合わされ、ゴーカートフィール健在のFFとなる。もっとも、オプションで8速ATの設定も可能だ。

 

気になるパフォーマンスは、0-100㎞/h加速が6.3秒(コンバーチブルは6.6秒)。WLTP対応の新型排ガス浄化装置により、タイムは販売中止前の6.1秒よりも0.2秒ビハインドだ。微差と言うか、誤差の範囲だが、遅くなっているのは事実。エンスーには、なかなか受け入れ難い現実だ…

 

しかしそこは、JCW。ミニのフラッグシップモデルとして、0.2秒のビハインドを、しっかりとエンジンサウンドで相殺してくれるようだ。今回のモデルでは、従来よりもスポーティなサウンドが愉しめるとのこと。やんちゃな咆哮で、0.2秒のビハインドを吹き飛ばしてくれるに違いない。

 

▶JCWの専用装備

帰ってきたJCWの足回りは、標準で17インチのホイールに、スポーツサスペンションとスポーツブレーキを装備する。その他の専用装備としては、JCW専用のエアロダイナミクスキット、JCW専用のスポーツシートを備える。LEDヘッドライトはもちろん、現行のミニに採用されている、「ユニオンジャック」をモチーフにしたLEDテールライトも健在。

 

▶今後の展開

JCWと言えば、来年のデビューが噂されている3代目「JCW GP」も気になって仕方がない。なにせ、300ps超のエンジンを搭載するかもしれないから…

 

関連記事:FF最速を目指して、3代目「JCW GP」来年発売か

 

▶「hard Brexit」の影が忍び寄る

BMWは、2019年3月29日に迫ったイギリスのEUからの「合意なき離脱」に備え、来年4月からおよそ1か月間、オックスフォード工場の閉鎖を決定している。ミニの60%の部品はEU圏内から調達されており、多額の関税が掛かってしまうからだ。

 

ミニだけでなく、JLR(ジャガーランドローバー)も、いわゆる「hard Brexit」になってしまった場合、大幅なリストラを敢行せざるを得ないという。輝きを取り戻した英国の自動車ブランドが、再び窮地に陥ってしまう危険性が、いよいよ現実味を帯びてきたのだ。

 

事実、自動車業界以外の産業でも、「hard Brexit」を恐れて、東欧からの安い労働力が欧州本土へと移動しており、人手の確保が難しくなっている。イギリス人の雇用は守れるかもしれないが、人を雇う企業が傾いてしまっては、本末転倒である。このように、「hard Brexit」の影は、イギリス国内に不安だけではなく、実害も及ぼし始めている。

 

「hard Brexit」という悪夢の実現を阻止すべく、イギリス議会での連日の激しい議論は、BBCの政治記者も見たことがないほど、荒れに荒れている。キャメロン首相が行ったEU離脱の国民投票から、2年半。ある意味、貧乏クジを引かされてしまったメイ首相は、「Brexit」を貫徹するのか。それとも、再び国民投票を実施するのか。

 

英断によって、数々の歴史的窮地をくぐり抜けてきた英国。メイ首相、どうか英断を。

 

 

Photo source:MINI

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