FFで「駆け抜ける歓び」、新生1シリーズ

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2004年、初代1シリーズはハッチバック界に革命を起こす。ハッチバックと言えば、ゴルフでお馴染みのFFという定説を打ち破り、純粋に走りを追求するFRで殴り込みをかけたのだ。

 

実用性を犠牲にして、「駆け抜ける歓び」をハッチバック界でも追求してから、はや15年。実用性を重視する消費者ニーズとライバルとの競争激化の波に押され、BMWはとうとうFRからFFへと舵を切った。そうして生まれたFFプラットフォームの新生1シリーズこそ、3代目1シリーズである。

 

開発に5年の歳月をかけたFFプラットフォームの新生1シリーズは、いよいよ最終テスト段階へと突入した。最終テストの舞台は、フランス南部のミラマスBMWテストコース。

 

FRハッチバックという孤高の道をひた走ってきたBMW。FFという新たな装いで、群雄割拠のハッチバック界に、存在感を示すことができるか。公式発表は、今秋。

 

今年の秋は、新型ゴルフ、新型AMG A45、そして新生BMW1シリーズと、ハッチバック市場は注目のクルマが盛り沢山の豊作シーズン。ハッチバックファンにとっては、とても幸せな秋の夜長を過ごせそうだ。

 

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▶X2 M35iのエンジンを移植

新生1シリーズは、BMWの最新のFFプラットフォーム「FAAR」を採用し、技術面は2代目の「ミニ カントリーマン」を引き継いでいるようだ。一方、エンジンラインアップはまだ全て公表されていない。唯一公表されているのが、トップモデルの「M135i xDrive」。BMWが公表した情報は、2.0ℓ4気筒ターボで306psということだけであるが、ここまでわかればしめたもの。このエンジン、正真正銘の「X2 M35i」のエンジンである。BMWでは、最強の4気筒ターボエンジンである。

 

ここからは、「X2 M35i」のスペックを「M135i xDrive」が踏襲する前提で話しを進める。

 

「M135i xDrive」の予想スペックは、306ps/450Nmを発揮し、ZF製の8速ATを介して、xDriveにより四輪全てを駆動する。0-100㎞/h加速は、「M135i xDrive」が「X2 M35i」よりも軽くて低重心であることを考えると、「X2 M35i」の4.9秒よりも速くなると思われる。ライバルとなる現行のゴルフRのタイムである「4.6秒」前後が、一つの目安になるだろう。

 

現状で掴める予想スペックからすると、「M135i xDrive」は、AMG A35、ゴルフR、アウディS3というライバル達と横一線である。しかし、「M135i xDrive」の後ろには、「M」が控えている可能性が高い。本格的なモンスターの登場は、もうしばらく待つ必要がありそうだ。

 

▶FFでも体現する「駆け抜ける歓び」

FRからFFへとシフトすることで、BMWファンが最も懸念するのは、あの軽やかで気持ちいいコーナリングが、果たしてFFでも実現できるだろうか…ということだろう。

 

その心配は、どうも取り越し苦労に終わりそうだ。FRからFFへとシフトすることで「駆け抜ける歓び」が体現できないことは、BMWにとっては「恥」と言うか、死活問題である。したがって、FFでの走りへのこだわりは、ある意味、FR以上に入念かつ神経質に造り込まれているようだ。

 

新生1シリーズの走りは、「BMW i3S」から導入されたARB(BMW版LSD)と、DSC(ダイナミックスタビリティコントロール)、そして「パフォーマンス・コントロール」の3つのシステムの協調により、FF特有のアンダーステアを最小限に抑制し、トラクションを大幅に向上させ、高速域での軽やかで俊敏なコーナリングを実現する。

 

BMWにおけるFFには、大先輩のミニがいる。そして、1シリーズから見れば「プロトタイプ」のようなX2の滑り出しも順調である。これら先人のフィードバックを詰め込み、5年の歳月をかけたのである。新生1シリーズには、大いに期待しようではないか。

 

▶実用性は大幅に改善

FRからFFへとシフトすることで最も改善を実感できるのは、その実用性だろう。後席レッグルームは33mm拡大し、後席ヘッドルームは19mm拡大しているという。さらに、ラゲッジスペースは20ℓ拡大し、380ℓ確保できるそうだ。

 

これまで難のあった後席中央部の太いセンタートンネルの存在も影を潜め、荷物もライバル並みにしっかり積み込める。居住性と実用性は、格段に向上していることだろう。

 

ならば、これまで1シリーズは実用性の面から遠ざかっていた顧客層を取り込める可能性は十分ある。いやはや、楽しみなクルマである。

 

▶今後の展開

新生1シリーズの公式デビューは、今年9月に開催される「フランクフルトモーターショー」になりそうだ。発表の舞台には、冒頭でもお伝えした通り、8代目となる新型ゴルフ、2代目となる新型AMG A45も公式デビューを予定している。

 

ホットハッチファンの方は、少しばかり長い休暇を取って、現地に足を運んでみるのもいいのではないだろうか。旅の締めくくりは、BMWのお膝元であるミュンヘンで9月21日から始まる「オクトーバーフェスト」。白ソーセージをつまみに、本場のうまいビールをグビっと一気飲み! なんも言えねー!

 

 

Photo source:BMW

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