俊足優雅なるSUV、カイエンクーペ【動画付き】

ポルシェは、3代目カイエンに「カイエンクーペ」を新たに追加投入した。

カイエンがこの世に生を受けたのは、2002年。スポーツカーブランドの代名詞であるポルシェが、初めて造ったSUVだ。一目でわかる堂々たる存在感、アクセルを踏めばめっぽう速く、細部まで妥協のない上質なインテリア、顧客の要望にとことん応えるカスタマイゼーション。

「職人魂」の塊のような製品造りとサービスで、新たな顧客層を取り込み、カイエンは大成功を収める。数字で見るその成功ぶりは、2002年から現在まで864,200台以上を販売し、年平均で50,000台を販売するというもの。ポルシェの稼ぎ頭であることは、疑いようがない。そして2018年に至っては、およそ71,500台ものカイエンが世界中に羽ばたいた。

毎年300,000以上もの顧客からのフィードバックをデータベース化し、クルマの開発に活かすポルシェ。データに裏付けされた完璧なクルマ造りで生み出された「カイエンクーペ」とは、果たしてどのようなクルマなのだろうか。

SUVクーペの世界には、BMW X6、アウディQ8、メルセデス・ベンツGLEクーペなどの強力なライバルたちがひしめき合っている。

しかし、「憎らしいくらいに完璧」なポルシェにとっては、ライバルなど存在しないかもしれない。

▶優雅なファストバック

カイエンクーペのルーフは、通常のカイエンよりもリアエンドにかけてなだらかに傾斜した「ファストバック」。そのシルエットは、911に比べると丸みがあるものの、ポルシェ・シルエットそのもの。

そんな流線形のフォルムよりも目を引くのは、通常のカイエンよりも圧倒的なパフォーマンスを予感させる「アダプティブ・リアスポイラー」の存在である。通常のカイエンがアダプティブ・ルーフスポイラーだけなのに対し、カイエンクーペは固定式ルーフスポイーラーに加え、911と同じアダプティブ・リアスポイラーも備える。

このアダプティブ・リアスポイラーは、リアウィンドの下にあるテールゲート中央部に格納されており、90㎞/h以上で最大135mmせり上がり、ダウンフォースを最大化する。結果、リアアクスルの挙動が安定し、SUVとは思えないコーナーリングを可能にする。

最後にもう一つ、カイエンクーペならではの標準装備として、パノラミックルーフが挙げられる。美しい流線形のルーフに相応しい優雅な開放感を提供してくれる。ちなみに、オプションでカーボン製ルーフに替えることができるそうだ。カーボン製ルーフは、なんと911 GT3 RSと同じデザイン。ハイパフォーマンスへの飽くなき情熱を感じる。

▶2種類のエンジン

カイエンクーペには、6気筒とV8の2種類のエンジンが用意される。

カイエンクーペこと3.0ℓ6気筒ターボは、340ps＠5,300 – 6,400rpm / 450Nm@1,340 – 5,300rpmを発揮する。0-100㎞/h加速は6.0秒でこなし、最高速度は243㎞/hに達する。オプションのスポーツクロノパッケージを選ぶと、0-100㎞/h加速が5.9秒になるという。

カイエンターボクーペこと4.0ℓV8ターボは、550ps＠5,750 – 6,000rpm / 770Nm@2,000 – 4,500rpmを発揮する。0-100㎞/h加速は3.9秒でこなし、最高速度は286㎞/hに達する。もはや、スポーツカーのパワーと速さだ。