新型A1、逞しく進化して登場

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6月20日、アウディは同社のスーパーミニである新型A1を発表した。新型A1は7月から販売が開始され、バルセロナのマートレル工場で生産された後、今年11月頃から順次デリバリーが開始されるようだ。

 

アウディA1は2010年の発売以来、83万台を売り上げているアウディ歴代3位の人気モデルである。2代目A1は、初代の丸みのある可愛らしいフォルムから、角ばった勇ましいフォルムへと大胆なイメチェンを図った。

 

もちろん、その中身も、よりマッチョなものへと変貌を遂げているようだ。これまで若者と女性がメインの顧客層だった初代A1は、逞しいプロポーションと身体能力を手にした。2代目A1は、世の男性にも広くアピールしていく狙いだろう。

 

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▶第2幕のクワトロデザイン

エクステリアデザインの特徴は、1984年にラリーシーンで一世を風靡した「スポーツクワトロ」をモチーフにしたシングルフレームグリルとボンネット最前部にある3つのエアインテークである。

 

最新のアウディデザインは一貫して「80年代のクワトロ」をベースにしており、そのデザイン言語は新型モデルに散りばめられており、クワトロの第2幕がデザインで蘇ったようにさえ感じてしまう。

 

そして、レースカーをモチーフとしたことから必然的にデザインの中にアグレッシブさやスポーティさが表現され、シャープな印象のヘッドライト、逞しいショルダーライン、ボディ輪郭の鋭角なプレスが、特別な車「クワトロ」のオーラを呼び覚ます。

 

80年代のクワトロこそがアウディのアイデンティティであり、その現代的解釈が最新のアウディデザインということなのだろう。

 

▶ドライバーオリエンテッドなインテリア

インテリアはスーパーミニとはいえ妥協はなく、10.25インチのフルデジタルのバーチャルコックピットに、ドライバー方向へ13度向いている8.8インチのMMIタッチスクリーンインフォテインメントシステムがセンターコンソールに収まる。

 

ドライバーオリエンテッドなコックピットレイアウトである。

 

なお、このMMIはA8譲りの最新式で、従来型より洗練されたボイスコントロールや、指による手書き文字認証システムまで備えており、エントリーモデルとは思えぬ豪華な装備である。また、MMIに内蔵されたナビはグーグルマップと連携しており、最新の渋滞情報も取得できるようになっているという。

 

そして、上級モデルでは標準装備となる4G LTEのWiFiホットスポットを搭載することで、アンドロイドオートやアップルカープレイにも対応する。さらに、MMIタッチスクリーンはオプションで10.1インチを選ぶことができ、ワイヤレスの携帯電話用充電器もオプションメニューに並ぶ。

 

最後に、アウディがクラス1と豪語する560Wのバング&オルフセン製スピーカーもオプションで用意されるようだ。インテリアは、さながら最新テクノロジー全部載せというところか。

 

極めつけは、至れり尽くせりのカスタマイゼーション。お気に入りの色やマテリアルに囲まれる「自分だけの1台」への衝動を抑えるのは、至難の業かもしれない。

 

▶ワンランク上のプラットフォーム

プラットフォームは、ワーゲングループがスーパーミニで共用する「MQB A0プラットフォーム」を採用し、初代よりも長く、ワイドに、低くなっている。2代目A1のボディサイズは、全長4,030mm×全幅1,740mm×1,410㎜となり、ホイールベースは90mm以上拡大されている。

 

長くワイドになったボディにより室内が広くなり、ラゲッジスペースも通常時が270ℓから335ℓへと拡大し、リアシートを倒すと1,090ℓ確保できる。このような実用性の大幅な改善もあり、3ドアモデルの展開はなく、5ドアモデルのみの展開となる。

 

機能美としての実用性を優先するところは、いかにもドイツ車らしい。

 

▶4種類のパワートレイン

パワートレインは3気筒ターボが2種、4気筒ターボが2種の計4種類の展開となり、全てFFとなる。1.0ℓ3気筒ターボは、25TFSI(95ps/175Nm)と30TFSI(116ps/200Nm)となる。4気筒ターボは、1.5ℓの35TFSI(150ps/250Nm)と2.0ℓの40TFSI(200ps/320Nm)となる。

 

トランスミッションは、7速Sトロニックと6速マニュアルのいずれかが組み合わされるが、40TFSIは6速Sトロニックのみの設定となるようだ。なお、ディーゼルの展開はなく、イギリスを除く欧州では天然ガスがラインアップに加わるようだ。

 

エンジンのネーミングは随分とパワフルな印象を与えるものに置き換わっており、実際の走りがこの数値以上の魅力を備えるか楽しみである。

 

▶走りの味つけ

プラットフォームがポロをはじめとする他のワーゲングループのモデルと共用だからとはいえ、そこはアウディ、走りの味つけはプレミアムに恥じない独自のものとなる。低くなったシートポジション、よりダイレクトなステアリング特性、締め上げられたサスペンションは、エキサイティングな走りを約束してくれるだろう。

 

オプションのドライブセレクトは、走行モードによってスロットルレスポンス、シフトチェンジのスピード、ステアリングの重さやエンジン音を変えるに留まり、残念ながら、ダンパーの減衰力を調整する機能は無いようだ。

 

S1が発表された暁には、アウディマグネティックライドのオプション設定を期待したい。

 

ちなみに、2代目S1は250ps以上のハイパワーをクワトロを介してドライブするモデルとなるようで、2019年頃にデビューする予定だという。ホットなスーパーミニとなることは、折り紙つきであろう。

 

▶運転支援装備

運転支援装備としては、先進の予防安全システムである「アウディプレセンス」を紹介したい。

 

これはレーダー技術を用い、周囲のクルマ、歩行者、自転車を感知して衝突の危険を予測するとドライバーに警告し自車を停止させ、衝突事故を未然に防ぐというものである。そして、レーダー技術を用いることで、雨や雪などの悪天候時でも影響なく作動するという優れものである。

 

ここで一つ。イギリスで運転をしていて感心したのが、ドライバーのマナーの良さである。

 

街中では歩行者を最優先にお互いのクルマにも譲り合いの精神があり、高速道路ではそんなに間隔を空けるのと思ってしまうほど車間距離を置いて走っている。つまり、クルマに対して怖い思いをすることが日本より圧倒的に少ないのだ。

 

だから、気持ちに余裕をもって必然的に安全運転になる。牧歌的な田園風景や歴史深い街並みをゆったりと味わえるのだ。先進の予防安全システムも大事だが、それを生かすも殺すも、ドライバーの日頃からの運転姿勢にかかっている。

 

▶今後の展開

販売は7月頃から開始されるようだが、価格はまだ公表されていない。ただ、現行のモデルを参考にすると、およそ260万円(2018年6月20日時点)ぐらいからとなりそうだ。

 

大幅な進化を遂げた2代目A1は、ライバルのミニやシトロエンD3を突き放すことができるか。日本への導入が待ち遠しい。

 

Photo source:Audi

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