5月27日、BMWは新型1シリーズを公開した。
2004年、初代1シリーズはハッチバック界に革命を起こす。ハッチバックと言えば、ゴルフでお馴染みのFF。しかし、BMWは「FFのハッチバック」という定説を打ち破り、純粋に走りを追求するFRで殴り込みをかけた。
実用性を犠牲にして、「駆け抜ける歓び」をハッチバック界でも追求してから、はや15年。孤高のFRハッチバックは、ヨーロッパを中心にコアなファンを獲得し、130万台を売り上げた。
しかしながら、実用性を重視する消費者ニーズと激化するライバルとの競争に押され、BMWはとうとうFRからFFへと舵を切る。そうして生まれたFFプラットフォームの新型1シリーズこそ、3代目1シリーズである。
開発に5年の歳月をかけたFFプラットフォーム「FAAR」。新型1シリーズはFFという新たな装いで、群雄割拠のハッチバック界に存在感を示すことができるか。
今年の秋、ドイツのフランクフルトで、新型ゴルフ、新型AMG A45、そして新型BMW1シリーズがお披露目される。ハッチバックファンにとっては、とてもエキサイティングな秋の夜長になりそうだ。
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▶躍動感ある外観、実用的な室内
新型1シリーズを見てまず思うことは、「X2と似ている」ということ。大型化したキドニーグリルに、ややつり目のヘッドライトがBMWのFFの顔なのだろう。横から見ると、先代のFRクーペ風のシルエットとはいかず、ややSUV的なシルエットのようにも見える。しかし、ボディサイドの立体的なプレスが、巧みにクルマ全体の躍動感を演出している。
ボディサイズは、全長:4319mm(‐5mm)×全幅:1799mm(+34mm)×全高:1434mm(13mm)で、 ホイールベースは2670mm(‐20mm)となる。FRからFFになったせいか、現在のハッチバック界の大型化のトレンドに反し、全長は短くなっている。一方、幅広で背が高くなったおかげで、居住性は向上。具体的には、後席の膝周りが33mm拡大し、ヘッドルームには19mmの余裕が生まれた。そして、肩から肘にかけての幅も13mm拡大しており、これまでよりも車内でゆったりと過ごすことができるようだ。ちなみに、ボディスタイルは、実用的な5ドアのみの展開となる。
ラゲッジスペースは先代よりも20ℓ拡大し、380ℓを確保。後席を全て倒せば、1200ℓの大きな荷室が生まれる。これまで難のあった後席中央部の太いセンタートンネルの存在も影を潜め、荷物もライバル並みにしっかり積み込める。居住性と実用性は、格段に向上していると言えるのではないだろうか。
ならば、これまで実用性の面で1シリーズを敬遠していた顧客層が、実用性と居住性が大幅に向上した新型1シリーズに振り向いてくれる可能性は大いにあるだろう。
▶5種類のエンジン
新型1シリーズは、2種類のガソリンエンジン、3種類のディーゼルエンジンの合計5種類のエンジンが展開される。
まず、2種類のガソリンエンジンであるが、118iは1.5ℓ 3気筒ターボ(FF : 140ps / 220Nm)に、6速マニュアル(オプションで7速DCT選択可)が組み合わされる。トップモデルのM135i xDriveには、「X2 M35i」と同じ2.0ℓ 4気筒ターボ(4WD : 306ps / 450Nm)が搭載され、8速ATが組み合わされる。
次に、3種類のディーゼルエンジン。116dは1.5ℓ 3気筒ディーゼルターボ(FF:116ps / 270Nm)に、6速マニュアル(オプションで7速DCT選択可)の組み合わせ。118dには、2.0ℓ 4気筒ディーゼルターボ(FF:150ps / 350Nm)に、6速マニュアル(オプションで8速AT選択可)の組み合わせ。そして、120d xDriveには、2.0ℓ 4気筒ディーゼルターボ(4WD:190ps / 400Nm)に、8速ATの組み合わせとなる。
エントリーモデルとコアモデルである118i 、116d、 118dには6速マニュアルが標準設定されている。1シリーズが、いかにヨーロッパを中心に支持されてきたクルマかがわかる。
気になるトップモデル「M135i xDrive」は後編へ。
Photo Source:BMW
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