SUVにさよなら、BMW 新型3シリーズ ツーリング:前編

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BMWは、6代目となる「新型3シリーズ  ツーリング」を公開した。3シリーズ ツーリングと言えば、誰もが認めるスポーツワゴンのベンチマーク。

 

1975年の発売以来、世界中で1,500万台以上も販売されているBMW3シリーズ。BMWの中で、今もなお世界中で一番売れているBMWの代名詞的存在である。BMWを代表する3シリーズに、ワゴンモデルの「ツーリング」が仲間入りしたのは、1989年。意外や意外、スポーツセダンとしての名声をほしいままにしていた3シリーズには、デビューから14年もの間ワゴンモデルが存在しなかったのである。

 

本家本元のスポーツセダンから遅れること14年。BMWは、スポーツセダンの切れ味鋭いハンドリングはそのままに、趣味を存分に楽しめる実用性を備えた「スポーツワゴン」という新たな価値を生み出した。

 

スポーツワゴンのベンチマークも代を重ね、今回の新型モデルで6代目となる。コードネーム「G21」と名付けられた6代目3シリーズ ツーリングは、5年もの歳月をかけて、スポーツワゴンとしての強みをそのままに、乗り心地や快適性、そして実用性にさらなる磨きをかけてきた。

 

スポーツワゴンという孤高の頂を目指す新型3シリーズ ツーリングは、SUVに別れを告げられるほどの実力を備えているのだろうか。

 

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▶ボディの大型化で実用性向上

6代目3シリーズ ツーリングの進化ぶりで最もわかりやすいのは、その「大きさ」ではないだろうか。5シリーズや7シリーズに採用されているCLARというプラットフォームにより、ボディのスリーサイズは全て先代よりも大きくなっている。

 

ボディサイズは、全長:4,709mm(+76mm)×全幅:1,827mm(+16mm)×全高:1,470mm(+8mm)となる。そして、ホイールベースは41mm延長され、2,851mmとなった。ホイールベースの拡大により、乗り心地はよりフラットになっている。そして、よりワイドになったフロントトラック(+43mm)とリアトラック(+21mm)により、路面に吸い付くようにコーナーを軽快に駆け抜けてくれるはずだ。

 

ホイールベースの拡大により、室内空間はより広々と快適になっている。ラゲッジスペースは、通常時で500ℓ(+5ℓ)を確保し、40:20:40の分割可倒式も備えるのだが、後席を全て倒すと1,510ℓ(+10ℓ)という巨大な荷室が生まれる。最大荷室容量は、スポーツコンパクトSUVであるポルシェ マカンを凌ぐ。

 

また、新型3シリーズ ツーリングでは、電動テールゲートが標準装備となる。そして、5シリーズ譲りの独立開閉式リア・ウィンドーも採用され、小さな荷物などの出し入れの際に、テールゲート全体を開閉せずにウィンドー部分だけの開閉で用が済んでしまう。荷室容量と使い勝手ともに、SUVいらずの申し分ない実用性だ。

 

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▶スポーツマインドを掻き立てる外観

アクティブエアフラップを内蔵したキドニーグリルを挟むかのように鎮座するスポーツマインドたっぷりの精悍なLEDヘッドライトは、とうとう標準装備となった。オプションのBMWレーザーライトを選べば、ハイビームで530m先の暗闇を煌々と照らせる。さらに、フロントバンパー下部のLEDフォグランプと横向きのT字型デザインのエアインテークは、スポーツラインとラグジュアリーラインでは標準装備となる。

 

リアは、L字型デザインのテールライトが従来よりもシャープで立体的なデザインへと刷新され、高級感漂うスポーティな存在感を醸し出す。

 

新型3シリーズ ツーリングのフロントマスクは男前だが、新型3シリーズ  ツーリングの横から見たシルエットは、50:50の前後重量配分を形にするとこれほど均整がとれて美しいのかと改めて感心する。ドイツが世界に誇る機能美の一つではないだろうか。前から見ても、横から見ても、後ろから見ても、カッコイイの一言に尽きる。

 

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▶8種のエンジン:ガソリン4種

発売時のエンジンラインアップは、ガソリン4種とディーゼル4種の計8種類が展開される。なお、6代目3シリーズ ツーリングからは、ガソリンモデルでのMTは廃止された。

 

それでは早速、ガソリンエンジンから。2.0ℓ4気筒ターボの320iツーリングは、184ps/5,000rpm-6,500rpm、300Nm/1,350rpm-4,000rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を7.6秒でこなし、最高速度は230㎞/hに達する。トランスミッションは、8速ATが組み合わされ、後輪を駆動する(2019年11月発売予定)。

 

2.0ℓ4気筒ターボの330iツーリングは、258ps/5,000rpm-6,500rpm、400Nm/1,550rpm-4,400rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を5.9秒でこなし、最高速度は250㎞/hに達する。トランスミッションは、8速ATが組み合わされ、後輪を駆動する。

 

2.0ℓ4気筒ターボの330i xDriveツーリングは、258ps/5,000rpm-6,500rpm、400Nm/1,550rpm-4,400rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を5.8秒でこなし、最高速度は250㎞/hに達する。トランスミッションは、8速ATが組み合わされ、xDriveにより四輪全てを駆動する。

 

3.0ℓ6気筒ターボの340i xDriveツーリングは、374ps/5,500rpm-6,500rpm、500Nm/1,800rpm-5,000rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を4.5秒でこなし、最高速度は250㎞/hに達する。トランスミッションは、8速ATが組み合わされ、xDriveにより四輪全てを駆動する(2019年11月発売予定)。1,000万円近くするパフォーマンスモデルだが、ライバルのメルセデスAMG C43やアウディS4以上の動力性能を備えるとあって、魅力的であることは間違いない。畑違いであるものの、実際にはライバルになるスポーツコンパクトSUVであるポルシェ マカンS(354ps / 480Nm, 0-100km/h加速5.4秒, 最高速度254㎞/h)と比較すると、新型340i xDriveツーリングがいかに高性能なスポーツワゴンか分かる。今後は、SUVとワゴンが垣根を越え、走りもレジャーも妥協したくない顧客の争奪戦を繰り広げることになるだろう。

 

関連記事:M3よりも魅力的? 新型M340i / M340i xDrive

 

▶8種のエンジン:ディーゼル4種

 

ガソリンに続いて、ディーゼル。2.0ℓ4気筒ターボディーゼルの318dは、150ps/4,000rpm、320Nm/1,500rpm-3,000rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を8.9秒(8.8秒:8速AT)でこなし、最高速度は216㎞/h(214㎞/h:8速AT)に達する。トランスミッションは、6速マニュアルが標準で組み合わされ、後輪を駆動する。8速ATはオプションとなる。

 

2.0ℓ4気筒ターボディーゼルの320dは、190ps/4,000rpm、400Nm/1,750-2,500rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を7.5秒(7.1秒:8速AT)でこなし、最高速度は229㎞/h(230㎞/h:8速AT)に達する。トランスミッションは、6速マニュアルが標準で組み合わされ、後輪を駆動する。8速ATはオプションとなる。

 

2.0ℓ4気筒ターボディーゼルの320d xDriveは、190ps/4,000rpm、400Nm/1,750rpm-2,500rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を7.4秒でこなし、最高速度は225㎞/hに達する。トランスミッションは、8速ATが組み合わされ、xDriveにより四輪全てを駆動する。

 

3.0ℓ6気筒ターボディーゼルの330d xDriveは、265ps/4,000rpm、580Nm/1,600rpm-3,000rpmを発揮。動力性能は、0-100㎞/h加速を5.4秒でこなし、最高速度は250㎞/hに達する。トランスミッションは、8速ATが組み合わされ、xDriveにより四輪全てを駆動する。ディーゼルとは思えないぐらいの高い動力性能を備えるため、340i xDriveとどちらにしようか悩む方も多いのではないか。ネガを強いて挙げるなら、音。しかし、ガソリンよりも燃費が良いので、相殺できるとも言える。う~ん、実に悩ましい。

 

豊富なラインアップで上市される新型3シリーズ ツーリング。気になる走りは、後編へ

 

Photo Source:BMW

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