3代目となる新型1シリーズを公開したBMW。トップモデルの「M135i xDrive」の実力やいかに。

▶M135i xDriveのスペック

新型1シリーズは、BMWの最新のFFプラットフォーム「FAAR」を採用し、走りの技術面は2代目の「ミニ クロスオーバー（カントリーマン）」を引き継いでいる。トップモデルの「M135i xDrive」に搭載されるエンジンは、先ほどもお伝えした通り、「X2 M35i」と同じBMW最強の4気筒ターボエンジン。先日発表された、「ミニJCWクラブマン」と「ミニJCWクロスオーバー（カントリーマン）」にも同じエンジンが搭載されている。

パワーは、306ps/450Nmを発揮し、ZF製の8速ATを介して、xDriveにより四輪全てを駆動する。0-100㎞/h加速は、4.8秒。今年11月発売予定の「Mパフォーマンス パッケージ」では、「4.7秒」とわずかに速くなる。ライバルとなる現行のゴルフRの「4.6秒」、メルセデスAMG A35の「4.7秒」と肉薄するタイムだ。そして、最高速度は250㎞/h。

「M135i xDrive」は、強力なライバル達に十分立ち向かえるパワーとパフォーマンスを備えている。

▶FFでも体現する「駆け抜ける歓び」

FRからFFへとシフトすることで、BMWファンが最も懸念するのは、あの軽やかで気持ちいいコーナリングが、果たしてFFでも実現できるだろうか…ということだろう。

その心配は、どうも取り越し苦労に終わりそうだ。FRからFFへとシフトすることで、「駆け抜ける歓び」が体現できないことは、BMWにとっては「恥」と言うか、死活問題である。したがって、FFの足回りは、ある意味、FR以上に入念かつ妥協なく造り込まれているようだ。その一つに、リアサスペンションに全車マルチリンク式を採用し、採算度外視の覚悟で、BMW流の走りへのこだわりを貫いた。

新型1シリーズの走りは、「BMW i3S」から導入されたARB（BMW版LSD）と、DSC（ダイナミック スタビリティ コントロール）、そして「パフォーマンス・コントロール」の3つのシステムの協調により、FF特有のアンダーステアを最小限に抑制し、トラクションを大幅に向上させ、高速域での軽やかで俊敏なコーナリングを実現する。

BMWにおけるFFには、大先輩のミニがいる。そして、新型1シリーズから見れば「プロトタイプ」のようなX2の滑り出しも順調である。これら先人からのフィードバックを詰め込み、5年の歳月をかけたのである。新型1シリーズには、大いに期待しようではないか。

なお、ホイールはオプションを含め、16インチから19インチまで用意される。

Source:BMW

▶最新のデジタルコックピット

ドライバーオリエンテッドなコックピットには、最新版のライブコックピットプロフェッショナル7.0を搭載。フルデジタルのメータークラスターは10.25インチ、中央のコントロールディスプレイは8.8インチ（オプションで10.25インチを選択可）。そして、1シリーズに初導入となる、9.2インチのヘッドアップディスプレイもオプションで用意される。その他にも、スマートフォン用のワイヤレスチャージャー、スマホで開錠と施錠ができるデジタルキーなど、充実のオプションリストが並ぶ。

近未来的なデジタルコックピットもいいが、いつの時代も変わらず開放感を楽しませてくれるパノラミックサンルーフも一考に値するのではないか。もちろん高いオプションだが、オープンエアな開放感は一度味わうと病みつきになる。1シリーズは、「プレミアム」ハッチバックである。多少の贅沢は、交渉の仕方次第で奥さんも許してくれるはずだ。

▶今後の展開

新型1シリーズの公式デビューは、6月25日から27日にかけてミュンヘンで開催されるBMWグループの「「#NEXTGen プレゼンテーション プラットフォーム」というイベント。その後、9月に開催される「フランクフルトモーターショー」で、一般公開され、9月28日が発売予定日となっている。「フランクフルトモーターショー」では、8代目となる新型ゴルフ、2代目となる新型AMG A45も公式デビューを予定している。

ホットハッチファンの方は、少しばかり長い休暇を取って、現地に足を運んでみるのもいいのではないだろうか。旅の締めくくりは、BMWのお膝元であるミュンヘンで9月21日から始まる「オクトーバーフェスト」。白ソーセージをおつまみに、本場のうまいビールをグビっと一気飲み！いいじゃないですか！

Photo Source : BMW