新型メルセデスAMG A45Sの魅力【ドリフト動画付】

with No Comments

ホットハッチの領域を超える「スーパーホットハッチ」、いや、「ハイパーハッチ」こと、新型AMG A45S。

 

AMGが「コンパクトクラスのスーパースポーツカー」と自負する新型AMGA45Sは、421ps/500Nmという「やり過ぎAMG」の悪ふざけかと思わせる、そんな異次元のパワーを誇る世界最強の4発を備える。

 

今回は「ホットハッチ」の世界に、「ハイパーハッチ」なる究極のカテゴリーを生み出した新型メルセデスAMG A45Sのドライブトレインについて少し深掘りをしてみたいと思う。

 

記事の最後には、リアウィングを備えたA45Sのドリフト動画もあるので、ぜひ楽しんで頂ければと思う。

 

SPONSORED

SPONSORED

 

▶新開発の世界最強の4発

新型A45Sに搭載される2.0ℓ4気筒ターボエンジンは、421ps/500Nmを発揮する。2代目世界最強の4気筒ターボエンジンだ。このエンジンは先代の「M133型」の改良版ではなく、新開発された「M139型」エンジンである。

 

先代の「M133型」は初代世界最強の4気筒ターボエンジン。2代目となる「M139型」が現れた今となっても、「M133型」が発揮する381ps/475Nmという怒涛のパワーは色褪せることはない。

 

さて、2代目世界最強の4気筒ターボエンジンこと「M139型」はどこがどう新しくなったのか。「M139型」は、新設計のシリンダーヘッドに200バールのピエゾインジェクターを採用し、圧縮比は先代の8.6から9.0まで上がった。ターボのブースト圧も1.8バールから2.1バールへと上昇。 その結果、ベースモデルは先代よりもわずかにパワーアップを果たし、387ps/480Nmを発揮する。一方、真打のSモデルは大幅にパワーアップし、421ps/500Nmという4気筒の常識を覆すパフォーマンスを手に入れた。

 

しかもこの「M139型」は、4気筒とは思えない高回転型のエンジンでもある。Sモデルの最高出力である421psは、なんと6,750rpmで発生される。7,000rpm近くまで回るのだ。先代の381ps/6,000rpmからすると、およそ1,000rpmも上まで回る。これは絶対に気持ちいいはずだ!

 

これだけではない。次はトルクだ。先代は2,000rpmぐらいから急激かつ強烈にパワフルなトルクが立ち上がり、怒涛のパワーは5,000rpmまで続いた。一方の「M139型」は、低回転域ではブースト圧をやや低めに抑えパワーの発生を穏やかにしている。そのためだろうか、パワフルなドッカン ターボというよりも、良く躾された自然吸気の本格スポーツカーのようなエンジンに感じるのだ。

 

「M139型」の極太トルクは、力強くそして滑らかに5,250rpmまで淀みなく続く。非常に洗練された気持ちの良いエンジンのようなのだ。

 

洗練されたレスポンスを備えるパワフルなエンジン「M139型」のパフォーマンスは、Sモデルの0-100㎞/h加速は3.9秒で、ベースモデルは4.0秒となる。とうとう4秒台を切ってしまった。「ハイパーハッチ」の誕生である。

 

最高速度は、リミッター作動でいずれのモデルも250㎞/hだが、SモデルはAMGドライバーズパッケージなるものを選択すると270㎞/hまで最高速度が引き上げられるそうだ。

 

▶エンジン屋AMGの矜持

AMGはエンジン屋だ。400ps超のエンジンは非日常的なほどにパワフル。それが故に、ここまでのパワーはいくらホットハッチ、いやハイパーハッチの世界でも必要ないのではないかという疑問を誰しもが持つと思う。しかしAMGは、そんな疑問を次のように一蹴する。「我々は、世界最強の4気筒ターボエンジンを造れるから造っただけだ」と。卓越した技術とノウハウを持つ者だけに許される貫禄の一言だ。

 

そんなAMGは、「ワン・マン・ワン・エンジン」という一台のクルマのエンジンを一人の職人が最初から最後まで手組で仕上げることでも有名だ。しかし、この手組はトップモデルのV8エンジンだけに許された特別な生産方式。しかしAMGは、ドイツのクラフトマンシップの頂点を極める集団でもある。エントリークラスとて一切の妥協はない。なんと、4気筒の「M139型」も「ワン・マン・ワン・エンジン」体制で生産されるというのだ。ライバルであるVWグループのアウディRS3やゴルフRプラスも相当な造り込みをしないと、新型AMG A45Sには敵いそうにない。

 

関連記事:新型ゴルフRプラス、400psで2020年に登場か

 

繰り返しで恐縮ではあるが、エントリークラスのハッチバックにまでも、一人の職人が一台のクルマのエンジンを最初から最後まで仕上げる「ワン・マン・ワン・エンジン」体制をとるメルセデスAMGの姿勢に対し、素直に拍手を送りたい。

 

▶電光石火のトランスミッション

新型A45Sのトランスミッションは、新開発のトランスミッション「8速AMGスピードシフトDCT」が組み合わされる。400ps超のパワーを自在に操るには、瞬時のシフトチェンジが不可欠である。

 

この点、最新の8速DCTは「スピードシフト」の名に恥じない実力を備える。シフトアップ・シフトダウン共に、パン、パン、パンと小気味よくシフトチェンジしてくれる。シフトチェンジの素早さは、「スピード」というよりも「電光石火」という言葉が最適だ。

 

AMGも新型A45Sの8速DCTは、これまでのAMGが開発してきたDCTの中でも随一の出来と太鼓判を押す。クラスを超越したパワーとレスポンスを備えるエンジン。そして、それに呼応する電光石火のトランスミッション。スペック表の驚くべき数値を、何らのギャップもなく現実に体験させてくれる予感がしてならない。

 

▶走りを愉しませる4WD

新型A45Sは先述の通り8速DCTが組み合わされ、四輪全てを駆動する。最新の4WDシステムである「4MATIC+」は、フロントバイアス(トルク配分が前輪寄り)の4WDであるが、必要に応じて最大50%のトルクをリアに配分することができる。

 

加えて、AMGトルクコントロール(トルクベクタリング)により、走行状況に応じてリアの左右輪のトルク配分を最大0:100にすることができる。その結果、旋回性能が飛躍的に向上し、これまで以上に軽快なコーナリングが可能となった。

 

AMGトルクコントロールでは、リアアクスルに2つのクラッチを備えることで、左右輪のトルク配分を最大0:100にすることで、旋回性能を向上させている。日本未導入であるが、欧州ではカルト的人気を博しているフォード・フォーカスRSも同様の仕組みで旋回性能を向上させている。そのダイナミックでコントローラブルな特性でファンを魅了している。

 

最近のパフォーマンスモデルでは、旋回性能を向上させるために後輪操舵を備えることがトレンドになっている。しかしAMGは、AMGトルクコントロールを持ってすれば後輪操舵がなくても、アンダーステアを抑えて十二分にハイスピードコーナリングを実現できるという。この技術があるからこそ、究極のエンターテインメントである「ドリフトモード」を導入することができたのだろう。

 

新型A45Sは「4MATIC+」により、強力なトラクションとグリップでハイスピードでも破綻を許さない不動の直進安定性を誇る。そしてコーナーでは、アンダーステアを抑えこんだ軽快なコーナリングをハイスピードでもいとも簡単に実現させる。まさに「意のままのドライビング」を堪能できるようなのだ。いざという時には、フロントの6ピストンの巨大なブレーキ・キャリパーでしっかりと車を止めてくれる。

 

ダイナミックでコントローラブルなクルマ。メルセデスAMGが世に送り出す「ハイパーホットハッチ」、A45S。来月のフランクフルトモーターショーが楽しみだ。

 

▶ドリフトモード動画

Source:AUTOCAR

 

関連記事:【速攻解説】新型メルセデスAMG A45S試乗動画

 

Photo source: Mercedes-Benz

SPONSORED

SPONSORED