アルピナB3のような洗練さを纏うか?新型M3

with No Comments

M3と聞いて連想するのは、「速い!」だろう。しかし次の瞬間、「でも硬い…」という言葉を心の中で呟いてしまう。

 

そんな走り一辺倒のイメージが強いM3。パフォーマンスカーにも快適な乗り心地が要求される昨今、果たして、新型M3は引き続き歴代の硬派な走りを頑なに守り続けるだろうか。

 

答えはノーだ。いや、もっと正確に答えるなら、「硬いM3」も選べる。しかし、「硬いのはちょっと」というオーナーは、ロングドライブも快適にこなすM3を選べる。さらに、最新テクの力を借りてめちゃくちゃ速く走れるM3も選べる。つまり、M3をこよなく愛する硬派なファン、M3に快適性を求めたい新たなオーナー、究極のコンパクトスーパーサルーンを操りたいエンスーのために、3つのM3が用意されるのだ。

 

新型M3の核となるベースモデルは、アルピナB3をお手本とするかのような上質で洗練された乗り心地と、アクセルを踏み込んだ際の爆発的な加速力を備える。もちろん、歴代のM3から受け継ぐシャープなハンドリングは顕在だろう。新型M3は最新のテクノロジーを駆使して、非日常の速さを秘めた日常の足として使える「ハイパフォーマンス・ドライバーズカー」へと進化する。

 

関連記事:新型M3より欲しい?新型アルピナB3ツーリング

 

SPONSORED

SPONSORED

▶性格の異なる3種のM3

新型M3には、パワーの異なる3種類のエンジンが用意される。そして、スーパーサルーンことM5に採用されている四輪駆動システム「M xdrive」も初導入される。

 

エンジンは、先日発表されたX3M、X4Mと同じものが搭載される。3.0ℓ直列6気筒ツインターボエンジンは、480ps/600Nmを発揮する。このエンジンをベースに、グレードごとに3段階の味つけをするそうだ。

 

3つの異なるエンジンパワーによって、組み合わされるトランスミッションと設定される駆動形式が違ってくる。3つの性格の中から、自分の好みに最も近い「M3」を選ぶことができる。自らのドラテクで駆け抜ける歓びを堪能できるM3。最新テクで武装した新時代のM3。究極のパフォーマンスを追求するM3。クルマ好きには、贅沢なほどに悩ましい選択肢だ。

 

▶硬派なエンスー向けモデル「ビュア」

新型M3のベースモデルは、BMW社内では「ピュア」と呼ばれている。エンジンは、新型S58エンジンこと、3.0ℓ直列6気筒ツインターボを搭載。パワーは450psを発揮する。組み合わされるトランスミッションは、マニュアルのみ。ちなみに、マニュアル設定があるのは、この「ピュア」だけである。

 

マニュアルのみの設定とだけあって、ターゲットは硬派なエンスー。駆動形式は、もちろん後輪駆動のみ。四駆の設定はない。まさしく、歴代から継承する「走りを追求するM3」の正常進化版、自らのドラテクで駆け抜ける歓びを堪能できるM3だ。

 

▶標準モデルの「レギュラー」

新型M3の標準モデルである「レギュラー」は、「ピュア」よりも強力なエンジンを搭載する。同じS58エンジンであるが、パワーが30ps増しの480ps/600Nmを発揮。組み合わされるトランスミッションはZF製8速ATが組み合わされ、M5と同じ四輪駆動(M xdrive)となる。走る気満々の時はRWDで、破綻を許さないパワフルさを味わいたいときはAWDで。

 

「レギュラー」は最新テクで武装した新時代のM3。「ハイパワー+四駆」というパフォーマンスカーの黄金の組み合わせを持つライバルのメルセデスAMG C63やアウディRS4とのガチンコ勝負が楽しみだ。

 

そして、この「レギュラー」こそ新時代のM3そのものであると思われる。歴代のM3は、実用的な箱にサーキット用のエンジンと足を埋め込んだクルマ。硬派なエンスーにとっては魅力的であるが、クルマを複数所有しない者にとってはやはりあの「硬さ」がいつも心に引っかかる。実用的な箱であるがゆえに、実用的でない走りがなんとも言えない複雑な葛藤を生む。もうちょっと乗り心地が良くならないものかと。

 

そして、そんな方が決まって選ぶ相棒はアルピナB3ではないだろうか。敢えて言うなら、「大人のためのM3」。動力性能はM3に引けを取らない。それでいて、街中を流すのはもちろん、ロングドライブも至極快適だ。そして、ちょっと強めにアクセルを踏み込めば、同じクルマかと疑ってしまうような怒涛の加速を披露してくれる。「ジキル博士とハイド氏」のような二面性を持ちながらも、その両極端な性格は常にドライバーの支配下にきちんと収まってくれている。ドイツの職人集団が生み出した名作と言う他ない。

 

アルピナB3のハイパフォーマンスと快適性の両立は、時代を先取りしていた。この高次元の両立の魅力に、やっとドイツ御三家が追いついた。そして、ドイツ御三家の中では最もRWDにこだわり続けたBMWがAWD採用へと舵を切り、皮肉にもアルピナB3をお手本に速さと快適性を両立するパフォーマンスカーを造るに至った。これまでのファンを裏切らず、これからのオーナーの期待に応える最良の選択ではなかろうか。

 

▶トップモデルの「コンペティション」

新型M3のトップモデルである「コンペティション」は、究極のパフォーマンスを追求するM3だ。M5では?と思わせるほどの暴力的なパワーは、なんと510p/600Nm。V8ではなく、ストレート6でこのパワー。恐ろしいほどにパワフル。公道では決して使いきれないどころか、試すことすら叶わない怪力だ。

 

これほどの怪力である、駆動方式はM5と同じ四輪駆動(M xdrive)。トランスミッションは、「レギュラー」と同じくZF製8速ATのみの設定となる。

 

怒涛のパワーを路面へ伝える足元は、前後でサイズの異なるホイールを履く。前輪が19インチで、後輪が20インチだ。

 

新型M3「コンペティション」と同じエンジンを搭載するX3 M「コンペティション」の0-100㎞/h加速は、4.1秒。この点、ボディが軽く重心の低い新型M3「コンペティション」は、X3 M「コンペティション」よりも速い3.9秒以下になることは間違いないだろう。

 

つい先日発表された量産4気筒世界最強のメルセデスAMG A45Sが3.9秒の時代である。新型M3、それもトップモデルの「コンペティション」が同じタイムで満足する訳がない。歴代最強最速の新型M3「コンペティション」は、どれほどの速さを見せてくれるか楽しみだ。

 

究極の速さを最新テクで操る新型M3「コンペティション」は、速さを追求するサラブレッドとスペインが誇る頭脳明晰な名馬アンダルシアンを掛け合わせたような唯我独尊の駿馬。そんなクルマのように思えてならない。

 

関連記事:新型M3、3つのモデルで2020年発売か

 

▶今後の展開

1万キロの慣らし運転を割り引いても、M3史上最高の乗心地とパフォーマンスをを備える新型M3は、来月のフランクフルトモーターショーで発表される。発売予定は来年。そして、この発売からやや遅れて、待望の新型M3ワゴンや、新型M4もデビューするだろう。

 

Photo source:BMW

SPONSORED

SPONSORED