ドライバーズカー、新型ボルボS60発表

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6月20日、ボルボはアメリカ サウスカロライナ州チャールストンに建設した同社初のアメリカ工場で、3代目となるS60を発表した。世界最大の自動車市場である中国とアメリカにおいて、ドライバーズカーとしての新型S60で、ボルボの強い存在感を示していきたいようだ。

 

新型S60のトップモデルをプラグインハイブリッドモデルが務めことで、今後のボルボはEVが主役になることをはっきりとアピールしている。

 

自動車産業の技術革新のスピードは未だかつてない速さで進んでおり、これまでのライバルよりも一歩先を行き、2025年のEVビッグバンで少しでもマーケットでの優位性を獲得すべく選択と集中をした結果が、中国とアメリカ、そしてEVということなのだろう。

 

とはいえ、ボルボの主戦場であるプレミアムマーケットには、難攻不落とも思えるドイツの御三家が君臨する。さらに、コアなファンを掴んで離さない英国のジャガーも虎視眈々とトップの座を狙っている。

 

彼らは、ボルボほどドラスティックな舵取りをしていないように見えるが、着々とEV化計画を推し進めており、内燃機関をEV技術によって洗練させるという手法で、顧客からの熱い支持をつなぎ止めることに成功している。そして、彼らには長年の歳月をかけて築き上げてきた個性という強みがある。

 

抜群の回頭性能を誇るBMW、破綻を許さないフラットな走りのメルセデス、全天候型クワトロのアウディ、路面の凹凸をしなやかにいなすジャガー。

 

新型S60の発売時期は2019年の初頭になるということだが、ほぼ同時期にBMWがフルモデルチェンジを果たした3シリーズを投入する。また、その時期の前後にはアウディがA4のマイナーチェンジを実施するという。もちろん、昨年の冬にジャガーXE、今年の春にはメルセデスCクラスが同じくビッグマイナーチェンジを果たしている。

 

唯一無二の個性を持つライバル達は、まったくもって力を緩めることがない。3代目S60は、ボルボのドライバーズカーとしての使命を全うすることができるか。

 

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▶一貫したデザインコンセプト

外観および内装のデザインは、XC60やV60に表現されている最新のボルボデザインが貫かれている。エクステリアの注目点は、北欧神話に登場する戦神トールが持つトールハンマーをモチーフにしたT型デザインのヘッドライトだろう。スポーティな装いのRデザインは、T型ヘッドライトはさながら吸血鬼が牙を立てている印象すら感じる独特の世界観だ。

 

一方のインテリアは、センターコンソールに収まるスクリーンの形状がライバルと対照的である。ライバルが横に広がるワイドスクリーンを採用しているのに対し、ボルボはタブレットのような縦長のタッチスクリーンとなっている。

 

使い勝手は慣れの問題であろうが、差別化を図るというのは本当に骨の折れる作業なのだろう。

 

▶立派なボディサイズ

新型S60のボディサイズは、全長4,761mm × 全幅2,040mm(サイドミラー含む) × 全高 1,431mmとなり、ホイールベースは2,872mmとなる。なお、ラゲッジスペースは442ℓとなる。

 

メインのマーケットを中国とアメリカとしているので仕方がないが、ボディサイズはこのクラスとしては立派過ぎであり、もうこの辺でボディの大型化にはストップをかけてもらいたいと思うのは欧州や日本だけなのだろうか。

 

▶4種のパワートレイン

遡ること2017年、ボルボは自動車メーカーで一番先にディーゼルエンジンとの別れを宣言した。

 

ほんの数年前まで寵愛されていたディーゼルを潔くきっぱりと手放してしまう裏には、避けることのできない環境問題と、迫り来るEVビッグバンへの準備が急務であったと想像される。そして、2019年モデル第1号のS60からは、公約通りディーゼルがエンジンラインアップから姿を消した。

 

そんな次世代のボルボのパワートレインは、ガソリン2種、プラグインハイブリッド2種の計4種類となる。

 

2種のガソリンエンジンであるが、2.0ℓ4気筒ターボ「T5」は、250ps/350Nmを発揮し、0-100㎞/h加速は6.2秒で、最高速度は225㎞/hとなる。2.0ℓ4気筒ターボ「T6」は、310ps/400Nmを発揮し、0-100㎞/h加速は5.3秒で、最高速度は250㎞/hとなる。

 

2種のプラグインハイブリッドは、 2.0ℓ4気筒ターボ + モーターの「T8ツインエンジン」は、406ps/640Nmを発揮し、0-100㎞/h加速は4.9秒で、最高速度は250㎞/hとなる。なお、遅れて導入される2.0ℓ4気筒ターボ + モーターの「T6ツインエンジン」は345psを発揮する。

 

駆動方式は、T5のみがFFとなり、それ以外はすべて4輪駆動となる。また、トランスミッションは、8速ATが組み合わされる。なお、プラットフォームはS90、V90、XC90、XC60と同じSPAプラットフォームを採用し、ドライバーズカーに恥じない足回りを入念に造り込んでいるらしい。

 

▶先進の運転支援技術

運転支援技術としては、レベル2の自動運転が可能となった「パイロットアシストシステム」がオプションで用意される。

 

「パイロットアシストシステム」とは時速130キロまでの走行範囲で、ステアリング、アクセルとブレーキの操作をサポートしてくれるものであり、GPSナビの活用でカーブでのコーナリングもよりスムーズにこなしてくれるようだ。

 

ロングドライブの帰路ではクルーズコントロールとの組み合わせで、これまで味わったことのないような安心感のある快適性を感じられるかもしれない。

 

▶期待が高まるポールスター

ボルボのハイパフォーマンスカーであるポールスターは、プラグインハイブリッドモデルのみとなる。とはいえ、そのスペックを見れば、期待に胸が高鳴ること間違いなしである。

 

ECUチューンで高出力化された「T8ツインエンジン」は、421ps/670Nmを発揮し、0-100㎞/h加速は4.7秒でこなし、最高速度は250㎞/hに達する。文句なしのパワーは8速ATを通じて、4輪全てで余すところなく路面へと伝えられる。

 

ボルボはS60をドライバーズカーとして位置付けており、通常モデルでも足回りには相当こだわっており、ポールスターにおいてはそれがさらに徹底されている。

 

フロントにはポールスターP1譲りの可変式ストラット・タワーバーの装着によりハンドリングはキレを増し、サスペンションはオーリンズ製の可変ダンパーのおかげで、乗り心地を維持しつつも高速域でのしなやかな足さばきが光る。

 

また、軽量化された19インチホールを履くことでバネ下重量を軽減し、ポールスターの新しいブランドカラーであるイエローで塗装されたブレンボ製ブレーキキャリパーがよりコントローラブルな車であることを約束する。レーシーなボルボは、来年中には我々の前に登場してくれるものと思われる。

 

▶今後の展開

正式な価格や発売時期は未定だが、価格はおよそ463万円(2018年6月21日時点)からとなりそうだ。

 

昨年から立て続けに3台の新型モデルを投入しているボルボであるが、次なる新型モデルはXC90となるようで、2021年頃のデビューが予定されているようだ。

 

熾烈な争いが繰り広げられるSUV市場が次なる決戦の場である。さて、ボルボはどのようなサプライズを用意して2021年に挑むか、期待と興味は尽きない。

 

Photo source:VOLVO

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