【徹底解説】2代目レンジローバー イヴォーク(前編)

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ジャガー・ランドローバー(JLR)は、2代目となる新型レンジローバー イヴォークを発表した。現行の初代イヴォークが発売されたのは、2011年。鮮烈なデビューで、世界中を熱狂の渦に巻き込んでから7年。コンパクトSUVの雄が、満を持してフルモデルチェンジを果たした。

 

2代目イヴォークの最大の注目点は、レンジローバー初となる48Vマイルドハイブリッドを搭載したこと。そして、ボンネットの下が透けて見えるハイテクカメラだ。

 

ラグジュアリーなコンパクトSUVの草分け的存在であり、世界中で大成功を収めたイヴォーク。その2代目というのだから、期待しないわけにはいかない。

 

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▶デザインは熟成志向

2代目イヴォークのデザインは、現行モデルとほぼ同じ。リアエンドにかけてキレイに絞り込まれたシルエットは、ジェリー・マクガバン氏の機能美を突き詰めたデザインの賜物だ。

 

「細部を煮詰めて、熟成させる」、男前をさらに男前に。刷新されたハニカムグリル、スーパーシャープなLEDヘッドライト、*ヴェラール譲りのデプロイヤブルドアハンドルが目に留まる。

 

精悍な顔つきとクーペ風のシルエットを纏ったイヴォークは、コンパクトSUV男前ランキングなるものをやれば、トップ3に入ることは間違いないだろう。

 

蛇足だが、VW ティグアンも結構な男前だ。

 

*デプロイヤブルドアハンドル:ドアの開閉時に、電動でせり出てくるドアハンドルで、使用時以外はボディに格納されて空力性能を高める。

 

▶実用性と快適性が洗練されたボディ

2代目イヴォークは、「プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー」という、今後の電動化パワートレインにも対応する最新のプラットフォームを採用。ボディ剛性は13%向上し、騒音や振動の低減はもちろん、乗り心地と静粛性の向上を図っている。

 

ボディサイズは、全長:4,371mm × 全幅:1,996mm × 全高:1,649mmとなる。ホイールベースは、2,681mmとなり、現行よりも21mm拡大。結果、後席のレッグルームも、21mm拡大した。加えて、後席のドアも大きくなり、難のあった乗降性も改善した。

 

ラゲッジスペースは、ホイールベースの拡大とリアサスペンションのコンパクト化で、通常時で現行より10%増加の591ℓを確保。40:20:40の分割可倒式の後席を倒すと、1,383ℓのラゲッジスペースが生まれる。実用性は、粛々と進歩した。結果、2代目イヴォークからは、3ドアが廃止された。

 

▶6種のエンジンを用意

2代目イヴォークのエンジンは、すべて2ℓ直列4気筒ターボのインジニウムエンジン。ガソリン3種と、ディーゼル3種の合計6種をラインアップする。注目すべきは、ディーゼルのエントリーモデルを除き、すべてのエンジンに、レンジローバー初となる48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載したこと。

 

レンジローバー初となる48Vマイルドハイブリッドシステムは、ベルトドライブ式のスタータージェネレーターと48V電源システムを用いたものだ。バッテリーは、車体の床下に収められている。このマイルドハイブリッドシステムは、車速17km/h以下では、エンジンを停止させての走行が可能だそうだ。もちろん、発進時や加速時には、エンジンをアシストし、パワフルな加速と燃費改善の両立を図る。

 

では、3種のガソリンエンジンのパフォーマンスから見ていくこととしよう。ガソリンエンジンは、すべてZF製の9速ATが組み合わされ、駆動方式はすべて四輪駆動となる。

 

エントリーモデル「P200」は、200ps@5,500rpm / 320Nm@1,300 – 4,500rpmを発揮。0-100㎞/h加速は、8.5秒。最高速度は、216㎞/h。パワーはもちろん、パフォーマンスも、エントリーモデルとしては文句なし。

 

中堅モデル「P250」は、249ps@5,500rpm / 365Nm@1,300 – 4,500rpmを発揮。0-100㎞/h加速は、7.5秒。最高速度は、230㎞/h。「P200」とはっきり差がつけられた動力性能を誇り、パワフルなSUV感がしっかり伝わる出来栄えだ。

 

真打のトップモデル「P300」は、300ps@5,500rpm / 400Nm@1,500 – 4.500rpmを発揮。0-100㎞/h加速は、6.6秒。最高速度は、242㎞/h。トップモデルだけあって、ゴルフRと同等のパワーを持つ。もっとも、0-100㎞/h加速はゴルフGTIクラスだが、1,925kgという車重を考えれば、十分に速い。

 

▶魅力的なディーゼルエンジン

ディーゼルエンジンも、基本的には、ZF製の9速ATが組み合わされ、駆動方式は四輪駆動となる。ただし、エントリーモデルの「D150」のみが5速MTとZF製9速ATの両方が設定され、MTモデルでは、駆動方式が四輪駆動ではなく、FFとなる。

 

エントリーモデルの「D150」は、150ps@2,400rpm / 380Nm@1,750 – 2,500rpmを発揮。0-100㎞/h加速は、10.5秒(AT:11.2秒)。最高速度は、201㎞/h(AT:196㎞/h)。ディーゼルのエントリーモデルも、ガソリンに劣らず、文句なしにパワフル。

 

中堅モデルの「D180」は、180ps@2,400rpm / 430Nm@1,750 – 2,500rpmを発揮。0-100㎞/h加速は、9.3秒。最高速度は、205㎞/h。430Nmのトルクは、魅力的。SUVに求められる悪路走破性を考えると、トルクフルなディーゼルエンジンは理想的だ。

 

トップモデルの「D240」は、240ps@2,400rpm / 500Nm@1,500 – 2,500rpmを発揮。0-100㎞/h加速は、7.7秒。最高速度は、225㎞/h。エンジンの静粛性が許容範囲ならば、AUTO JACK一押しのモデルだ。

 

わずか、1,500rpmで500Nmのトルクは圧巻。繰り返すが、2.0ℓ4気筒エンジンで、500Nmのトルク。コンパクトSUVとしては、超絶怒涛のパワフルなエンジンだ。もちろん、馬力、加速力、最高速度も、十二分に満足できるレベルに達している。改めて、コンパクトSUVとしては、魅力的というか、理想的なモデルだと思う。(後編へ続く)

 

Photo source:LANDROVER

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