蘇るか、ジャガーXK

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ジャガー・ランドローバー(以下JLR)の製品戦略責任者であるハノ・キルナー氏は、今後10年間の製品戦略において、スポーツカー部門を今後の成長分野と位置づけ、次期Fタイプと共にXKを復活させることを示唆した。

 

もし、XKの復活が現実のものとなれば、ジャガーのスポーツカーラインアップはより充実したものになる。

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▶XK復活の背景

XK復活の理由としては、まず、スポーツカーメーカーとしての伝統と名声をこれからも堅持していきたいということが挙げられるだろう。

 

そして、2013年に発売されたFタイプが昨今のSUVブームの中でも売り上げが堅調であり、特に北米市場と中国市場での大幅な販売実績の伸びがあることから、スポーツカーの将来的な需要のさらなる高まりを見込んでいるようだ。

 

▶次期XKのデザイン

JLRのデザイン・ディレクターであるイアン・カラム氏を抜きにして、次期XKのデザインは語れない。彼は2代目XKはもちろん、新生ジャガーの顔であるXJ、XF、Fタイプもデザインした。

 

彼のデザイン・ストーリーは今もなお、より洗練されながら新たな道を着実に歩んでいる。そして、このストーリーに欠かすことのできないスポーツカーの兄貴分としての役を任されたのが、まさしく次期XKと言えるのではないだろうか。ちなみに、カラム氏のデザインチームは、すでに次期XKのデザイン案を完成させているというのだから驚きである。

 

▶次期XKのスペック

詳細なスペックは現段階では正直なところ、わからない。

 

おそらく、インジニウムエンジン2.0リッター4気筒ターボ(300ps)と、3.0リッターV6 スーパーチャージャー(340ps、380ps)を 正常進化させたエンジンラインアップが展開されていくと考えて良いだろう。

 

もちろん、JLRのハイスペックバージョンであるSVR(5.0 リッター V8スーパーチャージド(575ps)の進化形もラインアップに加えられるはずである。

 

▶次期XKのプラットフォーム

では、このようなハイパワーの受け皿となるプラットフォームは、果たしてどうなるのか。

 

次期XKのプラットフォームは、ゼロから新しいプラットフォームを開発するのではなく、現行Fタイプのプラットフォームの改良型になるという。この次期プラットフォームは、より柔軟な拡張性を備えたプラットフォームへと刷新され、Fタイプの2シーターはもちろん、次期XKの2+2シーターのレイアウトへも柔軟に対応できるとのことである。

 

早ければ、2019年頃にFタイプのプラットフォームは、この次期型へと切り替えられる予定だ。それにしても面白いのは、Fタイプのプラットフォームは、生産終了となった2代目XKのプラットフォームを大幅に改良したものが用いられているという点である。

 

Fタイプのプラットフォームは、2代目XKのプラットフォームの剛性を高め、より安定したしなやかなものへと仕上げられている。次期XKは、約10年の歳月をかけて進化した自らのプラットフォームで蘇るのである。まるで、復活が運命づけられていたかのようだ。

 

▶次期XKの発売時期

次期XKのプロジェクトは、まだまだ不確定なことが多く、現段階では2021年以降の発売となりそうである。

 

▶プラグインハイブリッドの導入について

次期XKでは、プラグインハイブリッドの導入は現段階では予定されていないようだ。クルマを愛する者にとってエンジンは、ただの動力源ではない。至極のBGMを奏でてくれるものである。人馬一体となって車を操る一時を大いに楽しませてくれるのだ。

 

英国スポーツカーメーカーのジャガーの決断は、そんなエンスージアストの心を熟知しているがゆえの英断ではないだろうか。次期XKの奏でる音楽が、待ち遠しく思えてならない。

 

▶ジャガーをこよなく愛する紳士の微笑

数年前にロンドンから2時間半ぐらいのバース近郊を訪れた時のことである。小さな田舎町の数百年の歴史を誇るパブへ立ち寄ったところ、店内は地元の人で賑わっていた。

 

最初は場違いなところに来てしまったかと思ったが、地元の人が親しげに声を掛けてくれた。ラグビーワールドカップのイングランド大会直前ということもあり、ラグビーの話で意気投合し、初めてなのに日本にいるかのようなリラックスした気分で楽しい一時を過ごすことができた。

 

気が付くと、時計の針は深夜零時を指そうとしていて、いよいよ閉店の準備が始まった。

 

それを見て帰ろうとした時、小太りで愛嬌のあるブルース・ウィリス似のパブのマスターが、私の土地勘が無いことを察してか、宿泊先のB&Bまで送ってくれるという。いい年をして甘えるわけにもいかず、最初は丁重にお断りしたが、マスターは「気にするな」の一言で、そそくさと自分の愛車へと案内してくれた。

 

目の前に現れたのは、ジャガーXタイプである。

 

ドアを開けて中に乗ると、マスターが満面の笑みでアームレストをさすりながら「いい車だろう」と一言。とても幸せそうな表情と、愛車をいつまでも慈しんでいる姿に感銘を受け、こちらも自然と頷いた。

 

ジャガーという名前を聞くと、いまでもイギリスにいるあの紳士の笑顔を思い出す。

 

Photo source:JAGUAR

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