ザ・スポーツカー、新型BMW8シリーズ登場

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6月15日、BMWは新型8シリーズをメディアに向けて披露した。約20年ぶりに帰ってきた新型8シリーズは、現行の6シリーズの後継車でもなければ、7シリーズの単なるクーペでもないという。

 

それもそのはず、BMWは新型8シリーズを「スポーツカー」という位置づけで開発してきたのだ。

 

ラグジュアリークーペのメルセデス・ベンツSクラスクーペはライバルにあらず、「スポーツカー」であるアストンマーティンDB11やポルシェ911がライバルというのだから、その意気込みは本気である。

 

▶2種類のパワートレイン

新型8シリーズには、ガソリンとディーゼルの2種類のパワートレインが用意される。ガソリンモデルのM850iは、4.4ℓV8ターボを搭載。パワーは530ps/750Nmを発揮し、0-100㎞/h加速は3.7秒という見事な速さを誇る。一方のディーゼルモデルの840dは、3.0ℓ直列6気筒ターボを搭載し、320ps/680Nmを発揮する。0-100㎞/h加速は、4.9秒とディーゼルとは思えぬ速さを実現。

 

トランスミッションは、ZF製の8速ATが組み合わされるが、この8速ATはギア比を高めることでよりトルクフルな走りに寄与している。オプションのダイヤモンドカットデザインのガラス製シフトノブを選べば、ラグジュアリーな雰囲気がさらにを盛り上がる。

 

そして、強大なパワーはリアバイアスのxDriveを介して路面へと伝えられるのであるが、通常の前後トルク配分は0:100と100%後輪に駆動力が与えられる本格FRスポーツの設定だ。

 

パフォーマンスと走りのセッティングは、「駆け抜ける歓び」を体現する見事なスポーツカーの仕立てである。

 

▶スポーツカーのお手本のようなスタイリング

フロントデザインは、BMWの中で最もスリムなLEDヘッドライトと新デザインのキドニーグリルによって、スポーティと言うよりスパルタンな顔つきだ。オプションのBMWレーザーヘッドライトは、ハイビームの照射距離が新型X5よりも100m長い600mになる。

 

そして、新デザインのキドニーグリルの中には、アクティブエアーフラップという車速感応式のフラップが備えられ、高速域ではフラップを閉じて空気抵抗を低減させる。

 

サイドのデザインは、横から見るとエレガントな流線形のルーフラインを描き、前から見ると後輪にかけて逞しいしショルダーラインがただならぬオーラを放つ。

 

美しいスポーツカーのお手本のようなフォルムだ。

 

ルーフは「ダブルバブル」というルーフ中央部が凹んだクラシカルなレースカーをモチーフとしたデザインを採用しており、オプションでCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)製ルーフに変更できる。

 

BMWによると、カーボン製のルーフにすることで低重心化がより一層強化されるそうだ。

 

さて、リアのデザインであるが、シャープなLEDのテールライトがボディのサイドにまで広がり、ワイドトラックで低重心というスポーツカーには不可欠なシルエットを強調している。

 

そして、ひと際目を引くのが、両サイドにある2本の大きな台形のエキゾーストパイプである。

 

このエキゾーストは可動式のフラップを内蔵したMスポーツエキゾーストシステムであり、走行モードによってフラップが開閉してエンジンサウンドを変えるのであるが、サウンドジェネレーターは用いていないらしく、生粋のV8サウンドを奏でてくれるという。

 

ドライビングプレジャーは、クルマを思い通りに操る楽しさとエンジンから響き渡るBGMが揃うことで完結する。生のV8サウンドにこだわってくれたことは、BMW流の粋な計らいか。

 

ボディサイズは、全長4,843mm ×全幅1,902mm×全高1,341mmとなり、現行の6シリーズと比べると短くワイドになり、車高が低くなっている。なお、ホイールベースは、2,822mmとなる。

 

▶「駆け抜ける歓び」を体現するインテリア

コックピットはまさしくスポーツカーというデザインで、BMWの他のモデルよりも低く設置されたシートにより、包まれ感が増している。

 

フルデジタルの12.3インチのメータークラスターは、運転中に情報が直観的に得られるよう表示が工夫されており、メーターの左側には速度計と速度表示があり、右側にはエンジン回転計とシフト表示があり、中央部にはナビが表示される。

 

これまでのようにナビを確認する際に視線を移す必要がなくなり、運転により集中できるコックピットとなっている。また、ドライバーの真正面に鎮座する最新型のヘッドアップディスプレイは、通常より16%大きくなっており、3Dグラフィックも表示できる。ドライバーが真っ直ぐ前を向いて運転に集中できるコックピットを、BMWライブコックピットプロフェッショナルと呼ぶそうだ。

 

一方、センターコンソールはidriveの進化でボタンの数も必要最小限に抑えられており、よりクリーンで洗練された印象を与える。10.25インチのidriveコントロールディスプレイは、従来通りのタッチスクリーンやクリックホイールでの操作だけでなく、音声認識やジェスチャーコントロールにも対応し、その使い勝手の良さには磨きがかかっている。

 

ハイテク機器満載のインテリアは手触りの良い本革で覆われることで、走り一辺倒の雰囲気が静かに打ち消され、ラグジュアリーな空気が漂う。なお、ラゲッジスペースは通常で420ℓあり、50:50の分割可倒式のリアシートを倒せば、さらに大きなスペースを確保できる。

 

新型8シリーズのインテリアは「駆け抜ける歓び」を最大限に引き出すべく考え抜かれた最新のコックピットを、上質なマテリアルで仕立てることにより、スポーティな雰囲気とラグジュアリーな佇まいを見事に調和させている。

 

まさに、ラグジュアリースポーツカー、ここに在りという感じである。

 

▶抜かりない軽量化と空力性能

ボディの材質にはアルミやマグネシウムやCFRPを採用することで、軽量化を徹底している。キドニーグリル内のフラップと、車体の裏側全体をアンダーパネルで覆うことでエアロダイナミクスの向上を図っている。

 

また、フロントとリアに大きなスポイラーを装着することで、空力性能の向上はもちろん、タイヤのグリップ力も高めている。

 

▶未知の懐深い走りのために

足回りにはルマン24時間耐久レースに参戦したM8GTEで鍛え上げられたノウハウが注ぎ込まれ、フロントはダブルウィッシュボーン式サスペンションが、リアは5マルチリンク式サスペンションが装着される。

 

そして、電子制御式アダプティブMサスペンションにより、ドライバーは雑味の無いより正確な路面状況が把握でき、インテグラル・アクティブ・ステアリング(BMW版4WS)により回頭性に優れたハンドリングが可能となり、車線変更や高速でのコーナリングを軽快にこなす。

 

さらに、オプションのアクティブ・ロール・スタビライゼーションを装着することで、高速走行時やコーナリング時のロールを抑え込み、よりフラットな走りを実現する。

 

レースカー仕込みの最新テクノロジーが交ざり合い、互いに影響しあうことで今までにない懐の深い走りを体験させてくれるのだろうか。

 

▶先進装備

先進装備として注目したいのは、BMWデジタルキーである。これは、スマートフォンで車の開錠や施錠だけでなく、エンジンも始動できる優れもので、ついつい車のキーを忘れてしまう方にとっては心強い機能だ。

 

また、コネクティビティも強化され、マイクロソフトオフィス365やスカイプとの連携も可能になったようである。

 

▶オプション

先述した各種装備のオプション以外にも、ガーボンパッケージ、Mスポーツパッケージ、Mテクニックスポーツパッケージ、BMWインディビジュアルも用意される。

 

▶今後の展開

新型8シリーズは今月に発売を開始し、早ければ今年11月にも順次デリバリーが開始されるとのことだ。価格はM850iが約1,470万円(2018年6月15日時点)からとなり、840dが約1,120万円(2018年6月15日時点)からとなる。なお、日本への導入時期や価格についてはまだ発表されていない。

 

生産は7シリーズも生産されているドイツのバイエルン州にあるディンゴルフィング工場で行われる。来年末には、読者の方の記憶にも新しいジュネーブモーターショーで披露されたM8グランクーペコンセプトの実車版である4ドアクーペをはじめ、カブリオレや待望のM8の発売も予定されている。

 

M8には現行のM5に搭載されている4.4ℓV8ツインターボ(600ps)の高性能版(634ps)が搭載され、0-100㎞/h加速は3.3秒を下回り、BMWの中で最速の車になることは必至だ。さらに、マイルドハイブリッドモデルなどのエンジンラインアップの追加もすでに検討が始まっているという。

 

今後の課題に事欠かない新型8シリーズは、ラグジュアリースポーツカーの新たなアイコンへと躍り出られるか、今後の活躍を期待したい。

 

Photo source:BMW

 

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