躍動する審美、DBS スーパーレジェーラ

with No Comments

6月26日、アストンマーティンは、新型フラッグシップモデル「DBS スーパーレジェーラ」を発表した。

DBSスーパーレジェーラは、スーパーGT「ヴァンキッシュS」の後継車であり、DB11をベースとする。

 

ベースとなるDB11からは、すでにAMRというサーキット志向のスペシャルバージョンが出ているが、パフォーマンスおよびラグジュアリーさの両面で、DBS スーパーレジェーラは遥か上を行く。

 

それもそのはず、ライバルはフェラーリ812スーパーファストであり、アストンマーティン史上最もパワフルで速いクルマが、DBS スーパーレジェーラなのだから。

 

アストンマーティンの頂点に君臨することを意味する「DBS」の使命は、比類なき速さの中に究極の美を見出す「躍動する審美」に他ならない。

 

「速さと優雅さ」が同時に求められるスーパーGTにおいて、DBS スーパーレジェーラはいかにしてこの相反する難題を乗り越えるのか、じっくりと見ていくこととしよう。

SPONSORED

SPONSORED

▶トルクフルなV12

エンジンは、今やとても貴重な存在となったアストン製5.2ℓV12ツインターボ(725ps/900Nm) であり、1,800rpmで最高トルクを発生し、その怒涛のパワーは5,000 rpmまで淀みなく続く。そして、この極太トルクは、力強くも気持ちよいクルージングを可能にしてくれる。

 

強力なパワーを丸く柔らかにコントロールする巧みさは、優秀で信頼できる執事を従えているかのようだ。

 

DB11 AMRよりも100ps近いパワーアップを果たしたDBSスーパーレジェーラは、0-100㎞/h加速を3.4秒でこなし、最高速度は340㎞/hに達する。ちなみに、DB11 AMRは、0-100㎞/h加速が3.7秒で、最高速度は335㎞/hだ。

 

直線的なパフォーマンスにおいても、DBSスーパーレジェーラは、余裕を持ってサーキット志向のマシンを屈服させる。暴力的であるが優雅にしつけられたエンジンは、フロントミッドシップに搭載され、前後の重量配分は51:49と、ほぼ中立を確保。

 

トランスミッションは、ZF製の8速ATが組み合わされ、強力なパワーはカーボン製のプロペラシャフトを介して後輪へと伝えられる。そして、強靭なパワーはアクティブバルブとクアッドエキゾーストを通過して、DB11よりも10デジベル大きく、甘美なるサウンドを奏でる。

 

上品さを纏った逞しいパワーは、エキゾチックな魅力に溢れている。

 

▶アストン史上最強の空力性能

DBSスーパーレジェーラの車重は1693㎏であり、DB11よりも約70㎏引き締まったボディとなる。イタリア語で「超軽量」を意味する「スーパーレジェーラ」という車名を、見事に体現している。

 

その名の通りに軽量化で引き締まったボディには、フロントスプリッター、グランドエフェクター、F1スタイルのリアディフューザー、エアロブレードⅡリアウィングという専用のエアロパーツを備え、フロント60㎏、リア120㎏の合計180㎏のダウンフォースを生み出す。

 

180㎏というダウンフォースは、アストン史上最大である。cd値はDB11と同じであるが、およそ70㎏の軽量化と180㎏ものダウンフォースにより、サーキットでも十分以上に速く走ることができるだろう。

 

パワーアップ × 軽量化 × 空力の最大化で、サーキットの帝王フェラーリにも、万全の態勢で勝負を挑める。

 

▶快適に、速く走る

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーンで、リアがマルチリンク式となり、最新の可変ダンパーが装着され、3つのドライブモード(GT、スポーツ、スポーツプラス)が備わる。そして、ESPとトルクベクタリング機能は、より俊敏で軽快なハンドリングを実現すべく、専用のチューニングが施されている。カーボンセラミックブレーキを備えた21インチのホイールは、ピレリP Zeroを履く。

 

この洗練された足回りにより、終始フラットな乗り心地を実現しつつも、路面からは雑味の無いクリアな情報がフィードバックされ、ドライバーは思い描いたラインを駆け抜けることができるだろう。

 

▶筋肉質なスタイリング

アストンマーティンが「走る芸術品」と言われるのは、そのシルエットを見ればわかる。

 

DBSスーパーレジェーラの美しいシルエットは、隆起した筋肉美であり、真横から眺めてみると、デッサンで描かれた流線形がキャンバスからそのまま浮き出てきたかのようである。そして、随所にカーボン素材があしらわれており、「スーパーレジェーラ」の名に相応しい、ストイックなまでに削ぎ落とされた軽さを演出する。

 

さらに、新しいデザインのヘッドライトとテールライトは、クルマ全体の印象をシャープにまとめる。

 

▶上質で心地よいインテリア

ターゲットとなる顧客層が、ヴァンキッシュSやフェラーリ812スーパーファストということであるから、インテリアもスペシャルなものが要求される。週末には、ショートトリップへでも繰り出したくなるような上品で洗練された空間は、もはやファーストクラスである。

 

ロングドライブでも終始快適で、もう少しこの時間を味わっていたいと思うだろう。それもそのはず、先進装備はほぼ全て標準装備となっており、道に迷うこともなく、帰り道の高速道路も疲れ知らずである。

 

もちろん、カスタマイゼーションはDB11以上の贅を極めたオプションメニューが用意され、顧客の要望に沿って特別な一台へと仕立てられることは、このクラスではもはや当たり前と言っていいかもしれない。

 

ラグジュアリーなスーパーGT「DBS スーパーレジェーラ」の価格は、およそ3300万円であり、年末からデリバリーが開始される予定である。

 

▶今後の展開

今後の展開で気になるのは、コンバーチブルモデルであるヴォランテが発売されるかどうかである。現状では、ヴォランテは来年春ごろまでに登場する見込みだという。

 

そして、気になるヴァンキッシュSは、マクラーレン720Sのライバルとして2021年を目途に復活が予定されている。この先も、新型モデルの話題が尽きることはなさそうだ。

 

さて、改めて、「DBS スーパーレジェーラ」を眺めて思うことは、曲線美の巨匠「フランク・ゲーリー」を思わせる、美しいシルエット。それは、さながらアスファルトの舞台に佇むアートである。

 

Photo source:ASTON MARTIN

SPONSORED

SPONSORED