上質なゆとりを、新型Aクラス サルーン発表

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7月26日、メルセデスベンツは、新型Aクラス サルーンを発表した。

 

新型Aクラス サルーンはAクラス ハッチバックのセダンモデルであり、アウディA3 サルーンがライバルとなる。

 

世界一を誇る空力性能を備えた新型Aクラス サルーンとはいかなるものか、早速その中身を探っていくこととしよう。

 

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▶最新のデザインはそのままに

フロントマスクは、もちろんハッチバックと同じであるが、セダンということでリアエンドにかけてはハッチバックよりもなだらかな流線形となっている。

 

テールライトは、Y字型のシグネチャーLEDライトとなっており、ハッチバックとの差別化を図るデザインとなっている。

 

全体的には、カジュアルな印象のハッチバックに対して、新型Aクラス サルーンは若々しさの中にもメルセデス固有の洗練された上品さを持ち合わせている。

 

▶ハッチバックより長くなったボディ

ボディサイズは、全長4,549mm(+130mm)×全幅1,796mm(±0mm)×全高1,446mm(+6mm)となり、ハッチバックよりも長く、やや背が高くなっている。

 

ホイールベースは、ハッチバックと同じ2,729mmとなる。ちなみに、全長とホイールベースはA3サルーンよりも長いので、室内は新型Aクラス サルーンの方が広いだろう。

 

ラゲッジスペースは、ハッチバックよりも50ℓ大きい420ℓとなるが、セダンであるため開口部は狭くなる。

 

▶恐るべし エアロダイナミクス

CLAよりも小さいフロント部分と、ハッチバックよりも延長されたリアのオーバーハングにより、CLAと同様、メルセデスの現状のモデルの中で最も低いcd値0.22を誇る。

 

この極めて低いcd値により、風切り音は抑えられ、燃費の向上も図られているようだ。走行中の室内はハッチバックよりも静かで快適な空間となろう。

 

▶上質でゆとりある室内空間

インテリアはデザインと機能共にハッチバックと全く同じであり、メルセデスの最新のインフォテインメントシステム「MBUX」を搭載する。

 

無論、室内は上質なマテリアルで丁寧に仕立てられており、コンパクトセダンとしては余裕のあるヘッドルーム、ショルダールーム、エルボールームを確保し、ゆとりある高級車としての造りの良さが表れている。

 

コンパクトセダンとはいえ、そこはメルセデス。上質な心地よさを存分に味わえるだろう。

 

▶2種のパワートレインで口火を切る

発売開始時には、パワートレインはガソリン1種、ディーゼル1種の計2種のラインアップとなる。

 

ガソリンエンジンのA200(1.3ℓ4気筒ターボ)は、パワーが165ps/250Nmで、7速Gトロニックと組み合わされる。一方、ディーゼルのA180d(1.5ℓ4気筒ターボディーゼル)は、パワーが118ps/260Nmで、7速Gトロニックが組み合わされる。なお、ディーゼルエンジンはルノーとの共同開発したものとなる。

 

駆動方式は基本的にFFであるが、4Maticの用意もされているようである。

 

気は早いが、AMG A35 4MaticやAMG A45 4Maticの登場に今から期待で胸が高鳴ってしまう。

 

▶改良版プラットフォームを採用

プラットフォームは、ハッチバックと同じFF用のMFA2プラットフォームの改良版が採用されており、軽量化が図られ、対応できるドライブトレインも増えているそうである。

 

サスペンションは、全てのモデルでフロントがマクファーソンストラット、リアがエントリーモデルはトーションビームで、上位モデルには可変ダンパーを備えた4リンク式が装着される。そして、ホイールはオプションを含め、16インチから19インチまで用意される。

 

上位モデルの走りは一体どの程度磨き上げられているのか、ハッチバックとの違いを感じられるほどのものに仕上がっているか、期待と興味は尽きない。

 

▶今後の展開

新型Aクラス サルーンのワールドプレミアは、10月に開催されるパリモーターショーで行われる。発売は年末頃になる予定なので、日本導入は来年になりそうだ。価格は、ハッチバックやA3サルーンよりもやや高く設定されるようである。

 

生産は、ドイツのラシュタット工場と、メキシコのアグアスカリエンテスにあるルノー・日産との合弁会社によって建設した新工場で行われる。早くもであるが、今回の新型Aクラス サルーンの登場に伴い、新型CLAの導入が来年に予定されているらしい。

 

Aクラスのようなエントリーモデルとは、文字通り「入口」となるモデルである。この「入口」での印象が、その後の購入や買い替え、グレードアップに影響する。

 

したがって、高級ブランドにとっては安価なエントリーモデルであるからと言って、手を抜いてはいけないのである。

 

エントリーモデルにブランドの持つエッセンスをしっかりと詰め込み、その個性を理解してもらうことができれば、それに共感する顧客はファンになり、収入や家族構成の変化によっては後々の買い替えだけでなく、グレードアップも期待できる。

 

そして、エントリーモデルは高級ブランドの敷居を下げ、新たな顧客層を取り込む大きな網としても機能する。

 

網は、大きければ大きいほどいい。

 

メルセデスは、Aクラスファミリーに形とキャラクターの異なる6つのモデルを展開している。これは新たな顧客層の潜在需要がこれほど細かに、しかも明確な違いをもって存在している裏返しでもある。

 

そして、メルセデスは6つのモデルを展開するという大きな網で、見事に新規顧客を獲得している。

 

新しいメルセデスの顧客の存在は、メルセデスそのもののブランドイメージに若々しさを新たに付け加えることに成功しており、ブランディングが顧客と共にあるとても良い見本ではないかと思う。

 

▶エントリーモデルの役割

若者のクルマ離れが叫ばれて久しいが、若者や潜在顧客とのタッチポイントを新たなサービスで設ける試みが始まっている。

 

アウディは、アウディの様々な車種の中から好きな1台を有料で借りることができる「アウディオンデマンド」というサービスを6月から開始しており、メルセデスは8月10日からドコモと組んで開始する「dカーシェア」で2時間の無料試乗サービスを開始する。

 

普段クルマに乗らない人は、何らかのイベントのためにこのようなサービスを使うだろうし、クルマをすでに所有している人は、気になるクルマを自由により長く試乗できる機会として利用するだろう。

 

借りる料金を考えると、まずはエントリーモデルからというのが人情ではないだろうか。ならば、潜在顧客と一番最初に出会う可能性が最も高いエントリーモデルは、やはり妥協の無いしっかりした造り込みが必要なのである。

 

「こんなものか」と思われてしまったら、そこで終わるのである。

 

新型Aクラス サルーンは、モダンなインテリアを上質に仕立てることで、高級車とは何たるかを新しい顧客にとても分かりやすくプレゼンテーションし、走り出せば必要十分なパワーを体感させることで、「これがメルセデスか」と頷かせる。

 

Aクラスは、Sクラスではない。

 

しかし、メルセデスのエッセンスが十分に詰まったエントリーモデルなのである。

Photo source:Mercedes-Benz

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