デザインと実用性を一新、新型Q3発表

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7月25日、アウディは2代目Q3を発表した。

 

先代よりも大きくなり、実用性が高められ、先進のコネクティビティを備えた新型Q3は、成熟したコンパクトSUVへと進化した。

 

2代目Q3の外観は、Q2とQ5との間を埋めるべく、先代のエントリーモデルとしての丸みのある親しみやすいデザインに別れを告げ、Q8を彷彿とさせるアグレッシブで逞しいデザインへと変貌を遂げた。

 

図らずも同じ日に、ワーゲングループのポルシェ マカンが見事なフェイスリフトぶりを公開したが、新型Q3はマカンに劣らず見た目通りの劇的な進化を遂げているのか、じっくりと見ていくこととしよう。

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▶Q8のデザインの影響を受けたエクステリア

エクステリアは、Q8のデザインの影響を受けており、より眼光鋭くなったヘッドライトの間に、8本のクローム製ストライプがあしらわれたシングルフレームグリルが、威風堂々たる存在感を主張する。

 

そして、バンパー下部にある大きなエアインテークには、スポーツドライビングにおいても一切の妥協を許さない固い決意のようなものを感じる。

 

さらに、フロントとリア共に、ショルダーラインは筋肉が隆起したように盛り上がったシルエットとなっており、どんな悪路であろうと走破するであろう信頼感が漂う。

 

一方、足元はRS6のデザインに着想を得た新デザインのホイールを履いており、サイズはオプションを含め17インチから20インチまで用意されるという。全体的にスポーティな味つけが鮮明となったエクステリアであるが、Sラインエクステリアパッケージを選択すると、さらにスポーティなルックスが手に入るようだ。

 

アグレッシブな顔つきのポイントである鋭い眼光のヘッドライトは、嬉しいことに、2代目Q3からはA6譲りのLEDヘッドライトが標準装備となり、オプションのマトリクスLEDヘッドライトを選べば、道路状況に合わせて配光を変えつつ、前走車や対向車を検知するとハイビームからロービームへと自動で切り替えてくれる優れものである。

 

初代のQ3から男性好みな雰囲気へとガラリと変えたスタイリングは、人気を博しそうな予感がする。

 

▶サイズアップで高められた快適性と実用性

ボディサイズは、全長4,485mm(+97mm)×全幅1,856mm(+25mm)×全高1,585mm(-5mm)となり、先代よりも長くワイドになっている。

 

ホイールベースは、先代より77mm長くなった2,680mmとなり、後席のニールーム、エルボールーム、ヘッドルームの全てで余裕ある空間となっており、ロングドライブでも快適に過ごせることだろう。

 

ラゲッジスペースは、通常で530ℓ(+60ℓ)であるが、前後に150mm動かせるリアシートを前へスライドさせると675ℓへと拡大する。リアシートを倒し、かつ前へスライドさせると、1,525ℓという巨大なラゲッジスペースが生まれる。分割可倒式のリアシートは、40:20:40の3分割にすることができる。

 

オプションで、ハンズフリーの電動テールゲートが用意される。

 

大きくなったボディ、延長したホールベース、スライドするリアシートの組み合わせで、快適性と実用性の両面で大幅に進化したのではないだろうか。

 

▶つながるドライバーオリエンテッドなコックピット

コックピットは、10.25インチのフルデジタルのアウディバーチャルコックピットとなり、オプションで新しいスポーツディスプレイを備えた12.3インチへとアップグレードすることができる。

 

ステアリング横に配置されているヘッドライトのダイヤル式コントローラーは、ボタン式へと刷新されている。ちなみに、全てのボタンやコントローラー類は人間工学に基づき設計されており、使用感は至って自然だそうであるが、皮肉なことにタッチスクリーンの登場でボタンは先代よりも減ってすっきりとした印象になっている。

 

一方、アウディのインフォテインメントシステムであるMMIが搭載された8.8インチのタッチスクリーンは、シングルフレームグリルをモチーフにしたインストゥルメントパネルに収まっており、ドライバー方向へ10度向いている。いやはや、ドライバーオリエンテッドなコックピットは健在だ。なお、このタッチスクリーンは、オプションで10.1インチへとアップグレードできる。

 

それでは、アウディコネクトを含む最新のMMIの中身について見ていくこととしよう。

 

▶最新のMMIとアウディコネクト

MMIのホーム画面は、オーナーの好みに合わせてカスタマイズができるらしい。そして、MMIに搭載されたナビゲーションシステムに「HERE」のオンラインマップが採用されたことで、リアルタイムの渋滞情報を取得することが可能となった。しかも、オプションで3Dグーグルマップの表示もできるそうである。

 

このように、オンラインで情報をリアルタイムで取得し、ドライバーの利便性を高めることが可能となった背景には、アウディコネクトというオンラインサービスの進化がある。

 

Q3ではアウディコネクトをより浸透させるべく、4G LTEが車載されており、同乗者の快適なネット環境のために4G LTEのWiFiホットスポットも搭載する。

 

MMIにはボイスコントロールシステムがあるが、オプションで高機能のボイスコントロールを選ぶと、アマゾンのアレクサのように話しかけるだけで必要な情報をドライバーに提供してくれる。

 

例えば、「お腹が空いた」と話しかけると、近隣のレストランなどをタッチスクリーン上に表示してくれる。「給油したい」と言えば、近くのガソリンスタンドと価格まで教えてくれる。

 

これはアウディコネクトと「HERE」の連携技であり、この上なく便利な機能だろう。

 

アウディコネクトの優秀さは、集合的な情報を活用する人工知能技術の「群知能」によるもので、リアルタイムの駐車場の空き状況や、走行上危険と思われる霧が発生している地域、路面が凍結している道路の場所なども事前に教えてくれる。

 

クルマに用いられる人工知能もここまで来たかと感心させられる。

 

アウディコネクトでは、オンラインニュースやメールの確認はもちろん、アップルカープレイやアンドロイドオートとの連携もバッチリできるそうだ。まだまだできることはたくさんあるが、その先は実車で確認することに譲ろう。

 

▶コネクティビティを意識したインテリア装備

インテリアの便利な装備として、コックピットには2つのUSBポートがあり、内1つは「タイプCコネクター」に対応し、リアにもUSBポートが2つと12Vソケットを備える。

 

これで、携帯端末の充電ができなくて困ることもなくなるだろう。

 

680Wのバング&オルフセン製スピーカーもオプションで用意されるようだ。

 

多彩な機能に、盛りだくさんのオプション。果たして、使い切れるだろうか…

 

▶運転支援装備

安全運転支援装備としては、オプションのアダプティブ・クルーズ・アシストを紹介したい。

 

これは7速Sトロニック搭載車のみのオプションであるが、アダプティブ・スピード・アシスト、渋滞アシスト、アクティブ・レーン・アシストを統合制御してロングドライブの疲労軽減や事故の要望に役立つ装備である。

 

家族で遠出することが多いオーナーには、あると安心な嬉しい装備ではないだろうか。

 

▶4種のパワートレイン

パワートレインについての詳細は公表されていない。恐らく、改良版マカン同様、9月から導入される新排ガス規制「WLTP」への適合に向けたテストの遅れが原因ではないかと思われる。ということで、予想パワートレインは、以下の通りである。

 

パワートレインはガソリンが3種、ディーゼルが1種の計4種類の展開となり、全て4気筒ターボエンジンとなる。

 

35TFSI (1.5ℓ4気筒ターボの気筒休止エンジン)は、150psのFFに7速Sトロニック(2018年後半頃に6速マニュアル導入予定)が組み合わされる。40TFSI (2.0ℓ4気筒ターボ)は、190psのクワトロ4WD に7速Sトロニックが組み合わされる。

 

45TFSI (2.0ℓ4気筒ターボ)は、230psのクワトロ4WD に7速Sトロニックとの組み合わされる。35TDI (2.0ℓ4気筒ターボ)は、150psのクワトロ4WD (FFは販売開始後導入予定)に6速マニュアル(7速Sトロニックは販売開始後導入予定)が組み合わされる。

 

なお、アウディは、遅れてディーゼルの40TDI (2.0ℓ4気筒ターボ:190ps)を追加する予定だそうだ。

 

ヨーロッパではディーゼルの販売不振が急速に進んでいるが、9月から導入される新排ガス規制「WLTP」がこれに追い打ちをかけることは間違いないだろう。

 

A1ではディーゼルのラインアップはなかったが、Q3ではディーゼルをラインアップするのは一体どういうわけか。

 

不思議だ。

 

▶快適志向の足回り

足回りは、先代のスポーティなキャラクターをうまく残しつつ、乗り心地の向上を図っているようだ。

 

オプションのアウディ・ドライブセレクト・ダイナミックハンドリングシステムには、6つのモードがあり、それぞれのモードによってエンジンレスポンス、ステアリングの操作感、7速Sトロニックのシフト特性が変化し、ダンパーの減衰力も路面状況や運転状況に応じて調整され、フラットな乗り心地をキープしつつスポーツドライビングも楽しめるようだ。

 

なお、Sラインエクステリアパッケージを選択すると、スポーツサスペンションとプログレッシブステアリングが備わり、よりシャープなハンドリングと軽快なフットワークが可能となるだろう。

 

▶今後の展開

価格はまだ公表されていないが、これほどのハイテクが満載なので値上げは必至だと思われる。注文は秋頃から開始し、11月中にデリバリーを開始する予定だというので、日本導入は来年ということになろう。

 

関連記事:400psの新型アウディRSQ3は2モデル展開

 

▶アイデンティティーと流行の両立

2代目Q3は現在のクルマの世界の流行のトピックである、コネクティビティと運転支援装備の充実に傾注し、走りよりはデザインで差別化を図っている。

 

もちろん、快適性と実用性にも配慮しており、家族とのレジャーにはコンパクトSUVとして非常に優秀な相棒となってくれよう。

 

しかし、SUVマーケットが急拡大し、アウディのアイデンティティーである「クワトロ」4WDが一般化し、決して珍しい独自性ある技術ではなくなってしまっているのも事実。

 

確かに、モダンでスポーティなデザインや上質なインテリア、最先端のコネクティビティは大切である。

 

しかし、エントリーモデルからトップモデルまで、一貫したアウディ独自の走りの哲学、つまり個性という土台がしっかりしていないと、先述した差別化の手段は機能しないのではないだろうか。

 

ライバルは、X1、GLA、イヴォーク、Eペース、XC40と大勢いる。

 

アウディ流のドライビングプレジャーをどう再構築していくか、磨き上げていくか、プレミアムブランドとしての真価が問われているような気がする。

 

Photo source:Audi

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