歓びと実用性を兼ね備えたロードスター、新型Z4

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BMWは、3代目となる新型「Z4 M40i ファースト エディション」を、アメリカのカリフォルニア州で開催された「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で披露した。

 

コードネーム「G29」と名付けられた3代目Z4は、トヨタとの共同開発プロジェクトの第1号車であり、復活間近の新型「トヨタ スープラ」とプラットフォームを共有する。

 

今回の共同プロジェクトでは、BMWはコンバーチブルモデルのZ4だけを生産し、トヨタはクーペモデルのスープラだけを生産する。この関係は、ポルシェ718 ボクスターとケイマンのようだ。

 

718 ボクスターをライバルとするZ4は、躍動感溢れる美しいフォルムに、精確にしてダイナミックなハンドリングと、敏捷性に富んだフットワークを兼ね備える。

 

初代Z1が誕生してから来年で30周年を迎えるオープントップの2シーター「Zロードスター」は、果たしてどれほどまでに進化しているのだろうか。

 

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▶躍動的であり、実用的でもあるボディ

クラムシェル型のボンネットと縦方向へと切れ上がったLEDヘッドライトの組み合わせが、なんとなくクラシカルなスポーツカーの雰囲気を漂わせる。それとは対照的に、BMWのシンボルであるキドニーグリルはグロスブラックの新しいスポーツメッシュデザインとなり、随所に施されたグロスブラックのパーツによるクールな印象は、モダンなスポーツカーであることを主張する。

 

そして、フロントホイールアーチのすぐ後ろには、最先端の空力対策の一環である大きなエアダクトが設けられている。ボクスターへのライバル心むき出しとも思える大きさである。

 

フロントからサイドにかけての外観は温故知新を感じさせつつも、ロードスターの躍動美を表現している。

 

ボディと一体化している反り上がったリアスポイラーは、鋭角的なL字型のテールライトと相まって、先代よりも遥かにスポーティな印象を与える。さらに、リアバンパーの両サイドにもエアダクトが設けられ、2本のエキゾーストパイプの間にはディフューザーも備える。

 

3代目Z4、空力対策も抜かり無し。

 

「フローズン・オレンジ・メタリック」というボディカラーに、ほぼブラックと言ってもいいチャコールグレイの電動式ソフトトップが組み合わされる。電動式ソフトトップは、50㎞/hまでなら、10秒程度でルーフを開くことができるそうだ。現行Z4のリトラクタブルハードトップからソフトトップへと切り替えたことで、車重は50㎏軽くなった。その結果、低重心化がこれまで以上に強化されているという。

 

そして何よりも嬉しいのが、トランクのラゲッジスペースが180ℓから265ℓへと大幅に拡大した点である。何と、ゴルフバッグを2つ積み込める容量を確保しているのだ。

 

これまでのハードトップで犠牲になっていた軽さとスペースが改善され、走りはもちろん、実用性までもアップグレードされているのは、かなりの加点要因だろう。

 

これには、ライバルのボクスターも、一杯食わされたと感じるに違いない。

 

足元に目を向けると、専用の2トーンカラーとなる19インチの軽量ホイールを履く。奥には、ちらりとブルーのブレーキキャリパーが見える。

 

ボディの大きさとの対比でみると、インパクト絶大のホイールではないだろうか。

 

▶これから明らかとなるエンジンラインアップ

Z4 M40iのパワートレインは、3.0ℓ直列6気筒ターボとなり、340ps/450Nmを発揮する。トランスミッションは、ZF製の8速ATが組み合わされ、後輪を駆動する。ただ、モデルによっては6速マニュアルが組み合わされる可能性もあるそうだ。

 

動力性能は、0-100㎞/h加速を4.6秒でこなし、最高速度はリミッター作動で250㎞/hとなる。ちなみに、ガチンコのライバルである718 ボクスターSは、0-100㎞/h加速を4.4秒でこなし、最高速度は285㎞/hである。やはり、ポルシェは、速い。

 

その他のエンジンラインアップについては、9月19日に明らかにされるようである。

 

恐らく、2.0ℓ4気筒ターボ、3.0ℓ6気筒ターボ、モデル中期頃にプラグインハイブリッドという展開になるのではないかと予想される。

 

▶ボクスター追撃の走り

トヨタと開発した最新のプラットフォームは、ねじり剛性が30%向上したスチールとアルミを組み合わせた独自の構造となり、サスペンションや電子制御機器などはBMWのCLARプラットフォームから流用しているという。

 

新型プラットフォームの採用で、低重心と50:50の前後重量配分はもちろん、ワイドトラックとコンパクトなホイールベースにすることで、切れ味鋭いハンドリングからもたらされる「駆け抜ける歓び」は、一層の高みへと登りつめているようだ。

 

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーンで、リアが5リンク式となる。このスポーツサスペンションには、可変ダンパーを備える。そして、Mスポーツブレーキ、M5譲りのMスポーツディファレンシャルを備えた足回りは、ボクスター追撃に万全の布陣である。

 

Mアダプティブサスペンションの3つのドライブモードは、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツプラス」となるが、最近のBMWは、特にトップモデルでの仕立てが相当にサーキット寄りなきらいがある。しかも、19インチのホイールには、ミシュランのランフラットタイヤが組み合わされるはずである。

 

とすると、Z4をゴルフ場への相棒として考える方は、タイヤは替えたほうがいいかもしれない。

 

「駆け抜ける歓び」と快適性の両立には、ひと工夫が必要か。

 

▶不動のドライバーオリエンテッドなコックピット

コックピットはまさしくスポーツカーというデザインで、車体の中央部に低く設置されたシートにより、包まれ感が増しているだろう。

 

フルデジタルのメータークラスターは、運転中に情報が直観的に得られるよう表示が工夫されており、メーターの左側には速度計と速度表示があり、右側にはエンジン回転計とシフト表示があり、中央部にはナビが表示される。

 

これまでのようにナビを確認する際に視線を移す必要がなくなり、運転により集中できるコックピットとなっている。

 

また、オプションでドライバーの真正面に最新型のヘッドアップディスプレイを設けることもできるという。ちなみに、ヘッドアップディスプレイは、Z4では初採用となる。

 

このようなドライバーが真っ直ぐ前を向いて運転に集中できるコックピットのことを、「BMWライブコックピットプロフェッショナル」と呼ぶそうだ。

 

一方、センターコンソールは最新のidrive7.0の採用で、ボタンの数も必要最小限に抑えられており、整然としていて洗練された印象を与える。

 

10.2インチのidriveコントロールディスプレイは、従来通りのタッチスクリーンやクリックホイールでの操作だけでなく、音声認識やジェスチャーコントロールにも対応し、その使い勝手の良さには磨きがかかっているようだ。

 

オプションで、「ハーマンカードン」サラウンド サウンド システムを選ぶことができるそうだ。

 

風を感じながら、ただ真っ直ぐ前を向いて、最先端のドライバーズカーを操る。

誰にも邪魔されない、風と共に過ごす至福のひと時。

 

▶今後の展開

BMWは、9月19日にエンジンラインアップや価格などを含めた3代目Z4の詳細を明らかにするという。発売時期は、2019年の春頃を予定しているようだ。

 

生産は、BMWの工場では行わず、生産委託を受けたマグナ・シュタイア社のオーストリアのグラーツ工場で行われる。

 

Z4のライバルは718ボクスターと述べたが、商品的な魅力という観点からすれば、マツダのロードスター(MX-5)は大きな脅威となる。熟成に熟成が重ねられたロードスターは、欧州でも絶大な人気を誇る。そして、日本製のロードスターは、最新型のパワーアップした自然吸気の4気筒で、気軽に人馬一体を愉しませてくれる「偉大なセカンドカー」でもあるのだ。

 

▶次なるトヨタとの共同プロジェクトとは

トヨタとの共同開発プロジェクトはこれで終わりではなく、すでにFFモデルの共同開発プロジェクトが動き始めているという。BMWのFFといえば、「ミニ」…

 

Photo source:BMW

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