アウディ初の市販EV「e-tron」誕生(後編)

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アウディ初の市販EVとなるミッドサイズSUV「e-tron」。動力性能と航続距離で、クラストップのライバルたちに迫る実力を見せた。EVに求められる先進性、SUVに求められる実用性はいかなるものか。

 

▶レクサスに続くカメラ内蔵のミラーレスサイドミラー

オプションのカメラ内蔵のミラーレスサイドミラーは、レクサス「ES」に続く先進装備だ。ミラーレスサイドミラーは、通常のサイドミラーの1/3くらいの細さで、パッと見る限りでは、ミラーがどこにあるか分からないほど細い。そんな極細のサイドミラー型カメラが捉えた映像は、車内のドアパネルに設けられる7インチの有機ELタッチスクリーンに鮮明に映し出される。

 

このミラーレスのサイドミラーの採用によって、従来のサイドミラーよりも死角が減少し、事故を予防できる。そして、バックでの駐車時には、カメラのアングルを調整することで、今まで見えにくかったところが見えるようになり、これまで以上に駐車が簡単になるという。何より、ミラーが曇らないこと、大雨の時に水滴で悩まされないことが嬉しい。

 

また、細くなったミラーの形状により空気抵抗が減少し、およそ2㎞航続距離が長くなる効果があるという。安全とエコを両立した先進のテクノロジーだ。

 

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▶デジタルなインテリアと大容量のラゲッジスペース

インテリアは、12.3インチのアウディバーチャルコックピットと、センターコンソール上に縦に2段構えになっている2種類のタッチスクリーンが印象的だ。

 

アウディのインフォテインメントシステムであるMMI は、タッチレスポンス操作コンセプトにより、ほぼすべての機能は2つの大型タッチスクリーンを介して操作する。

 

これにより、物理的なスイッチはほとんど無くなり、ナビや走行モードの設定などを操作したい場合は10.1インチの上部ディスプレイを、エアコン等の操作をしたい場合は8.8インチの下部にあるディスプレイにタッチするだけでよい。タッチスクリーン上で全ての操作が完結してしまうのは、車載スマートフォンと言っても過言ではない。

 

気になる車内の通信環境であるが、標準装備でLTEとホットスポットを車載しており、同乗者もストレスなくインターネットを楽しむことができる。

 

ラゲッジスペースは、通常時で660ℓ確保し、後席を倒すと最大1,725ℓとなる。さらに、フロントのボンネットには、防水加工が施された60ℓのラゲッジスペースを備えており、実用性については申し分ない。

 

▶今後の展開

e-tronのスペックの詳細は、10月に開催されるパリモーターショーで明らかにされるようだ。発売は欧州では来年初頭からとなり、ベルギーのブリュッセル工場で生産され、春頃にはデリバリーが開始される予定だ。日本への導入予定については、現状では不明だ。

 

2020年までに、「e」モデルから新モデルが2台導入される予定だ。e-tron GTコンセプトをベースとするスポーツモデルと、A3をベースとするコンパクトモデルの2台となる。

 

e-tronは、性能や実用性において十分な競争力を備えている。しかし、外観は新型Q3を大きくしたようなものであり、メルセデスのEQCのようなEV独自の斬新さがデザインで表現されていなかったのが残念だ。

 

ヨーロッパ特有の統一美で、全てのモデルに一貫したデザインを施すのは、ブランディングの観点からは理解できる。しかし、EVは内燃機関に代わる新たな動力源であり、次世代の移動手段でもある。ならば、新しい時代の幕開けに相応しい斬新さをデザインで表現しても良かったのではないかと思う。

 

Photo source:Audi

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