ゴルフRを超える愉しみ満載、新型AMG A35 4MATIC

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メルセデスベンツは、新型Aクラスのトップモデルの第一弾となる「AMG A35 4MATIC」を、10月に開催されるパリモーターショーに先駆け、その全貌を明らかにした。欧州では、10月下旬頃から発売される見込みだ。

 

新型AMG A35 4MATICは、トップに君臨する「AMG A45」ほどの過激な動力性能は求めないが、いざという時、周囲が羨むようなパフォーマンスが出せるクルマを所有したいという顧客層に、とても魅力的なモデルとなろう。

 

A45は来年デビュー予定で、これまで通りの究極のプレミアムホットハッチの道を突き進み、アウディRS3やBMW M140iXとしのぎを削る。一方のA35は、ゴルフR、アウディS3、新生BMW1シリーズの「M130iX」をライバルに迎える。

 

それでは早速、新型AMG A35 4MATICについて見ていこう。

 

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▶A45を彷彿とさせる外観

鮮やかなイエローメタリックのボディに、グロスブラックのパーツが光る。ハードコアなスポーツモデルの匂いがプンプンするカラーリングだ。大型のエアインテークとフロントスプリッターにウィングレット、そして巨大なリアウィングがA45を彷彿とさせる。全体をパッと見る限り、A35とA45を区別するのは難しそうだ。

 

リアに目を向けると、A35は楕円形のツインエキゾーストパイプを採用。この2本のエキゾーストパイプの間には、立派なリアディフューザーを備える。可変フラップを備えたA35のエキゾーストシステムは、ドライブモードによってフラップを開閉し、エンジンの音色を変えてくれる。

 

▶ゴルフRを超えるパワー

A35のエンジンは、新型のA250に搭載されるM260型をアップグレードしたもので、A45に搭載されるM139型をデチューンしたものではない。ツインスクロールターボチャージャーを改良することで背圧を低減し、A35専用のプログラムが施されたカムトロニック可変バルブコントロールを採用し、エンジン内部の摩擦を低減させ、燃費向上を実現した。これらのチューニングにより、2.0ℓ直列4気筒ターボは、306ps/400Nmを発揮する。

 

300ps超と言うと、先頃、新排ガス規制「WLTP」の基準をクリアすべく、310psから300psへとダウングレードしたゴルフR を超えるパワーだ。しかも、エンジン裏側にアルミ製のプレートをボルトで固定し、フロント部分のねじり剛性を向上させ、高速走行でもマシンの挙動をしっかりと安定させる。

 

トランスミッションは、より素早いシフトチェンジを可能にする7速AMGスピードシフトDCTが組み合わされ、4MATICで四輪全てを駆動する。電子制御多板クラッチ式4WDの4MATICのトルク配分は、走行状況に応じて、前後100:0から50:50となる。

 

パフォーマンスであるが、「レーススタート」機能というローンチコントロールを起動させると、0-100㎞/h加速を4.7秒でこなし、最高速度はリミッター作動で250㎞/hに達する。4.6秒のゴルフRをやや下回る数値は意外だが、同じく4.6秒のポルシェケイマンにも迫る速さは、もはやホットハッチの領域を飛び出し、スポーツカーの領域へと突入している。

 

▶サーキット走行も愉しめる足回り

AMGライドコントロールサスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアが4リンク式となる。オプションで、コンフォートからスポーツまでの3段階の調整ができる可変ダンパーを設定できる。

 

そして、AMGダイナミックセレクトは5つのモードを備え、「スリッパリー」「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」「インディビジュアル」となる。今回新しく設定された「スリッパリー」というモードは、雨などの滑りやすい路面状況を想定したものだ。エンジンパワーを抑制し、早めのシフトアップをすることでトルクカーブをフラットに保ち、クルマの挙動を安定させる。一方の「スポーツ」や「スポーツ+」では、AMGの過激なスポーツドライビングが堪能できる。

 

さらに、新しく導入されたAMGダイナミクスプログラムは、コーナリング時にコーナー内側の後輪にブレーキをかけ、アンダーステアを軽減してスムーズなコーナリングを可能にする。

 

A35専用に強化されたブレーキは、フロントが4ピストンのモノブロックキャリパーに350mmのディスクが組み合わされ、リアはシングルピストンのキャリパーに330mmのディスクが組み合わされる。文句なしの制動力を発揮してくれるはずだ。

 

ホイールは18インチとなり、その奥にはAMGのロゴが刻まれたシルバーのブレーキキャリパーが堂々たる存在感を放つ。

 

この足回りであれば、もちろん、サーキットを思う存分に疾走できるだろう。

 

▶気分が上がるコックピット

AMGのデザインが随所に施されたコックピットには、フラットボトムのAMGスポーツステアリングや、専用のAMGスポーツシートが鎮座する。

 

そして、「クラシック」「スポーティ」「スーパースポーツ」という3種類のメーター表示が備わるAMG専用メータークラスターは、ブースト圧、トルク、出力、Gフォースの表示もすることができ、街乗りであっても十分にレーシーな雰囲気を感じながらドライビングを愉しむことができるだろう。

 

さらに、オプションのAMGトラックペース機能を使うと、ラップタイムなどのサーキットでの走行記録を取るだけでなく、インフォテイメントシステムのMBUXのナビと連動して、オプションのヘッドアップディスプレイに理想的な走行ラインを映し出してくれるというのだから驚く。

 

新型AMG A35 4MATICには、スポーツドライビングを愉しむ仕掛けが盛りだくさんだ。

この手の演出では、やはりゴルフRはメルセデスAMGには敵わないようだ。

 

▶今後の展開

新型AMG A35 4MATICの発売は、欧州では10月下旬頃からとなり、来年の1月にはデリバリーが開始される予定だ。日本への導入時期は現段階では不明だが、ゴルフRに匹敵する性能と様々な運転を愉しむ仕掛けがあるだけに、早々の導入を期待したいところだ。

 

新型AMG A35 4MATICは、今回のハッチバックを皮切りに、CLA、CLAシューティングブレーク、GLAにも追加されることになるだろう。メルセデスの4気筒コンパクトモデルのラインアップは、どんどん拡充していく。コンパクトカーの市場は、大衆車ブランドの聖域であったが、とうとう高級ブランドのメルセデスに本格的に浸食され始めたようだ。

 

Photo source: Mercedes-Benz

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