シャンパン・ホットハッチ、新型メガーヌR.S.トロフィー

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7月19日、ルノーは究極のFFホットハッチ、新型メガーヌR.S.トロフィーを発表した。F-1テクノロジーに着想を得た1.8ℓターボエンジンは、ついに300psの大台に到達。

 

ルノーご自慢の足回りは4輪操舵を備えることでその魅力に一層の磨きをかけ、これまで以上にスリリングで官能的なドライビングプレジャーを提供してくれるはずだ。

 

前置きはこれぐらいにして、早速、ルノー・スポールが誇る最新最強マシンをのぞいてみよう。

 

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▶300psの秘密は、ターボチャージャーとエキゾーストシステムにあり

新型メガーヌR.S.トロフィーは、1.8ℓ4気筒ターボエンジンを搭載。パワーは、300ps/420Nm(マニュアルは400Nm)を発揮。メガーヌR.Sより、20ps/30Nm向上している。

 

パフォーマンスは、0-100㎞/h加速を5.7秒でこなし、最高速度は260㎞/hに達する。パフォーマンスにおいても、メガーヌR.S.より0-100㎞/h加速は0.1秒速く、最高速度も10㎞/h速い。

 

このパフォーマンスアップの裏側には、一体何が隠されているのだろうか。

 

ルノーによると、F-1テクノロジーから着想を得たターボチャージャーと、新しいエキゾーストシステムにあるという。改良されたターボチャージャーは、タービンに軽量のセラミック製ベアリングシステムを採用することで、従来型よりも摩擦を3分の1低減させることに成功。

 

その結果、ターボラグが最小限に抑えられ、エンジンレスポンスが大幅に向上し、加速力の向上につながっている。

 

一方の新型エキゾーストシステムは、リアのサイレンサーに備わった機械式のバルブが、マルチセンス・システムという4つのドライブモードと連動し、2通りの甘美なる音色を奏でてくれる。

 

バルブが閉じている時は、耳障りな低周波をカットした心地よいスポーティな調べを奏でるが、バルブが開くと一転、ド迫力のエンジンサウンドを轟かせる。

 

レスポンスが飛躍的に向上したエンジンは、新しいエキゾーストシステムによって、そのパワーを最大限に発揮する。

 

その弾けるような華やかさは、まるでシャンパン。

 

そして、華々しいフランス式のエンジンには、6速マニュアルか、専用のマッピングが施され、変速スピードが速められている6速EDCが組み合わされる。さらに、よりエキサイティングな加速を楽しみたいオーナーには、オプションでローンチコントロールが用意されている。

 

なお、先述したマルチセンス・システムという4つのドライブモードには、コンフォート、ナチュラル、スポーツ、レースがあり、レースモードでは自らのドライビングスキルを思う存分に発揮できる。

 

メガーヌR.S.トロフィーは、その心臓部をのぞいただけでも、サーキットに連れ出したくてたまらない。

 

▶キレとしなやかさを極めた足回り

メガーヌR.S.トロフィーには、4コントロールという四輪操舵システムが備わる。これは低速時に後輪が逆位相となることで敏捷性が増し、より小回りが利くようになるのでタイトなカーブも気持ちよく曲がれる。

 

一方、高速時には後輪が同位相となることで走行安定性が増し、高速域でのコーナリングもグリップを失うことなく安定して駆け抜けることができる。FFを楽しみ尽くすには、この4コントロールは今後欠かせない技術かもしれない。

 

さて、コーナーでのトラクションと俊敏性を高次元で両立するルノーご自慢のカップシャシーは、トルセンLSDを備え、ショックアブソーバーは25%、スプリングは30%、アンチロールバーは10%、メガーヌR.S.よりも硬く引き締められている。

 

メガーヌR.S.トロフィーは、4コントロールとカップシャシーの組み合わせにより、キレのある強靭な足腰を手に入れた。

 

高速でのキツいコーナーも今となっては怯むべき対象ではなく、歓びの源泉。

 

横方向のキレに加え、メガーヌR.S.トロフィーには縦方向のしなやかさも身につけている。それが、4HCCハイドロリック・コンプレッション・コントロール)である。

 

4HCCとは、二段構造のダンパーで、路面の凹凸を繊細かつしなやかにいなし、高いロードホールディングを実現する。もちろん、この賢いダンパーにより、乗り心地も快適になる。さて、二弾構造のダンパーとは聞きなれない言葉である。それもそのはず、元々はラリー競技車両用の技術であるから。この二段構造のダンパーは、ダンパー底部に第二のダンパーを内蔵しており、ダンパーが縮みストローク終端部に近づくと、第二のダンパーのピストンが減衰力を発生し、メインのダンパーのストロークを制限する。その結果、これまでダンパー内で発生していた不快な振動を抑制し、路面の凹凸に沿うように足がしなやかに動いてくれる。快適さと俊敏さを両立する、実に賢いダンパーだ。

 

キレのあるしなやかな足を印象付ける19インチTSW製へレスホイールの奥には、バイマテリアル・フロントブレーキディスクが収まる。このブレーキディスクは、メガーヌR.S.よりも一つのディスクあたり1.8㎏も軽く、放熱性が高いため耐久性に優れている。

 

真紅のブレンボ製キャリパーと組み合わされることで、過酷なサーキット走行でも卓越した制動力を発揮し、マシンをよりコントローラブルなものとする。

 

タイヤはブリヂストンのポテンザS001を履く。2019年には、ホイールあたり2㎏軽い超軽量ホイールと、ポテンザS007がオプションメニューに追加される。

 

エンスーであれば、ついつい選んでしまいたくなるオプションだ。

 

▶ホットハッチを代表するスタイリング

メガーヌR.S.トロフィーは、名刺代わりのリキッド・イエローのボディカラーで身を包む。そして、フロントのチンスポイラーには「トロフィー」という文字が誇らしげに刻印されている。

 

さらに、フロントバンパー下部には、R.S.ビジョンというチェッカーフラッグをモチーフにした3つのライトが埋め込まれており、デイタイムランニングライト、フォグライト、コーナリングライトの3つの仕事をこなす。

 

サーキット志向であることを無意識に語りかけてくるような、秀逸なデザイン。

 

極めつけは、オプションのアルカンターラで覆われたレカロシート。このシートは、シートポジションをメガーヌR.S.よりも20mm低く設定できるというのであるから、スリリングでエキサイティングなドライビングは折り紙つき。

 

▶今後の展開

欧州での販売開始は、今年の秋頃から。価格はおよそ440万円(2018年7月19日時点)であるが、魅力的なオプションを揃えているので、購入の際にはそれなりのプライスになるだろう。

 

▶シャンパン・ホットハッチ  VS  忍者ホットハッチ

普段の生活ではFFで十分であり、四駆の必要性を感じることは稀である。

 

しかしながら、ホットハッチの領域では天井知らずの高出力化の波に押され、溢れんばかりのパワーを受け止め路面に伝えるには、四駆に頼らざるを得ない状況になっているのも事実。

 

そんな中、ホットハッチの源流であるFFを貫き、四駆ではない技術で強力なパワーと軽快なフットワークを両立させるメガーヌR.S.トロフィーは、孤高の存在と言っていいだろう。

 

最新のメカニズムと妥協のない造り込みで一切の隙を見せないドイツ勢も、サーキットで颯爽と華やかに舞うフランス車の官能的な魅力には、嫉妬を覚えるのではないか。

 

しかし、日出ずる国ジパングには、シビックタイプR(320ps/400Nm, 0-100㎞/h加速5.7秒)という忍者のような足さばきと超人的なパワーで、FFとは思えぬ速さでサーキットを制するマシンがある。

 

日本が誇る忍者ホットハッチは、ドイツのニュルブルクリンク北コースで、ゴルフGTIクラブスポーツS(310ps/380Nm, 0-100㎞/h加速5.8秒)を抑えて、FF最速の7分43秒80を叩き出している。

 

さて、シャンパン・ホットハッチは、忍者ホットハッチにどう挑むか楽しみだ。

 

Photo source : RENAULT

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