進化したSAV、新型X5

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6月6日、BMWは5年ぶりに4代目となる新型X5を発表した。累計220万台の販売実績を誇るSAVは、5年の歳月を経てどのような進化を遂げたのか。

 

「駆け抜ける歓び」を標榜するBMWは、SUVというカテゴリーで敢えて「SAV(Sports Activity Vehcle)」という言葉を用いる。創業以来、走りへのこだわりが全ての車種に貫かれている表れだろう。

 

では、走りの哲学を体現した最新のパワーユニットはどのようなものか。

 

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▶4種のパワーユニット

新型X5には4種のパワーユニットが用意され、ガソリン2種とディーゼル2種の計4種類がラインアップされる。

 

ガソリンエンジンは、直列6気筒ターボのxDrive40iが、345ps/450Nmを発揮し、0-100km/h加速は5.5秒となる。V8のxDrive50iは、468ps/650Nmを発揮し、0-100km/h加速は4.7秒という俊足ぶりである。

 

一方のディーゼルエンジンは、いずれも直列6気筒ターボで、xDrive30dが269ps/620Nmを発揮し、 0-100km/h加速は6.5秒となる。xDrive50dは、406ps/760Nmを発揮し、0-100km/h加速は5.2秒でこなし、ディーゼルとは思えぬ速さを備える。

 

これら4種のパワーユニットは8速ATを介してその強大なパワーを路面へと伝え、SAVとして見事に「駆け抜ける歓び」を体現する。バイエルンのエンジン屋の意地なのであろうか、動力性能と燃費の向上を両立する最近流行りの48Vマイルドハイブリッドは搭載していない。

 

最新の電動アシストの力を借りずとも、これまで継ぎ足してきたエンジン屋の技術という濃厚なスープは、ガツンとくる非日常のパワーを味わわせてくれるということなのだろう。

 

なお、BMWによると、新型X5の発売時にはハイブリッドモデルは用意されないが、遅れてプラグインハイブリッドモデルを追加導入する予定だという。

 

▶軽快な足回り

新型X5は5シリーズや7シリーズのプラットフォームである「CLAR」を改良した新プラットフォームを採用する。この新プラットフォームの採用により、ねじり剛性も33%向上し、コーナーでの安心感はさらに増すはずだ。巨体のX5を軽快に走らせるリアバイアスの4WDは、リアアクスルにディファレンシャルロックを備え、よりしなやかで気持ちの良いコーナリングが期待できる。

 

そして、電子制御アクティブ・ロール・スタビライゼーションは高速走行時やコーナリング時のロールを抑え込み、よりフラットな走りを実現する。BMW初となる22インチホイールをオプションで選べば、よりダイレクトでスポーティな走りを楽しめるかもしれない。

 

また、Xシリーズとしては初のオフロードパッケージが設定される。

 

これは前後にエアサスペンションを備え、「サンド」「ロック」「グラベル」「スノー」の4つのモードからいずれかのモードを選択すると、モードに応じて車高を調整し、xDrive(4WDシステム)、DSC(電子制御シャシー)、トランスミッション、エンジンを統合制御し、任意のモードでクルマの走りを最適化してくれるシステムである。

 

▶洗練された外観と大きなボディ

新型X5のエクステリアは現行モデルとさほど大きく変わっていないが、BMWのトレードマークであるキドニーグリルが大きくなったことで、より存在感ある顔立ちになった。

 

なお、大きくなったキドニーグリルの中にはアクティブエアーフラップという車速感応式のフラップが備えられ、フラップの開閉により走行抵抗の低減が可能という。

 

また、オプションのアダプティブLEDヘッドライト機能付きの「BMWレーザーライト」は、標準のLED式ハイビームに比べて照射距離が300mから500mに拡大している。

 

ボディサイズは現行モデルよりも大型化し、全長4,922mm(+36mm)、全幅2,004mm(+66mm)、全高1,745mm(+19mm)となり、日本ではこれまで以上に気を遣うサイズになった。

 

なお、ホイールベースも42mm延長され2,975mmとなっただけでなく、ドアも大型化されたことから、居住性と乗降性の両方が改善されている。ボディは大型化されたが、荷室容量は現行モデルと同じ645ℓとなる。ただし、後席を倒すことで、1,860ℓの荷室容量を確保できる。

 

▶モダンでクリーンなインテリア

インテリアは、全体的によりモダンでクリーンなイメージだ。idriveの進化でボタンの数も必要最小限に抑えられており、よりすっきりと洗練された印象を感じる。

 

コックピットは伝統のドライバーオリエンテッドなレイアウトは不動だが、メータークラスターと中央部にあるコントロールディスプレイは、どちらもフルデジタルの12.3インチとなっている。

 

自慢のidriveは、従来通りのコントロールディスプレイのタッチスクリーンやクリックホイールでの操作だけでなく、音声認識やジェスチャーコントロールにも対応する。その使い勝手の良さには磨きがかかっているようだ。

 

また、ヘッドアップディスプレイは現行モデルよりも大きくなり、表示される情報も追加されており、3Dグラフィックも表示できるようになったようである。そして、アンビエントライトは6色を取り揃え、その時の気分によって車内の雰囲気を変えることが可能だ。

 

上質なマテリアルで仕立てられた内装とドライバーズカーであることを決して忘れさせないコックピットの設計は、エレガントな佇まいとスポーティな雰囲気を高次元で融合させている。

 

まさに洗練されたデザインの妙である。

 

室内はホイールベースの延長に伴って広くなっており、車内の快適性は向上している。なお、オプションの3列目シートは2人乗車用となり、現行よりレッグルームとヘッドルーム共に余裕があり、より快適に過ごせるのではないだろうか。

 

▶先進の安全装備

BMWとしては初となる安全装備として、緊急停車アシストというものが導入された。これは不測の事態が発生し、ドライバーが適切な運転操作ができないとクルマが判断した場合、車を安全に停車させるシステムである。必要であれば、車線変更して路肩へ停車することもできる非常に優れた安全装備である。

 

▶今後の展開

BMWの発表では今年11月より順次販売が開始されるとのことで、日本での発売時期は未定である。とはいえ、来年の前半には日本上陸というニュースを期待したい。

 

空前のSUVブームにおいて、「SAV」という独自の思想を持つBMW。

 

4代目X5は、手強いライバル達に差をつけることができるか。今後のSUV戦国時代が楽しみだ。

 

Photo source:BMW

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